民事訴訟法

気づいてほしいの

■ 事例 平成18年1月10日,XはYから不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起された。XとYは同じ法科大学院に通う仲のいい友人だが,最近は忘年会の会計をめぐって関係がギクシャクしていた。Xは,「特に訴えられるような憶えはないなあ・・・」と思いつつ訴状…

証拠(総則)

● 意義 裁判所が事実認定のために用いる資料(民事訴訟法2編4章)。 当事者が自白した事実・顕著な事実は証明の必要がないが,そうでなければ証拠によって証明する必要がある(179条)。 不要証事実 これには当事者主義から「当事者に争いのない事実」と,客…

既判力

● 意義 確定裁判による判断事項が後訴裁判所・後訴当事者を拘束する訴訟法上の効力。 ①訴訟物が同一の場合,②先決問題の場合,③矛盾関係の場合,にそれぞれ作用する。 職権調査事項。 終局判決にはあるが,中間判決にはその手続内に限ってしかない。 決定・…

訴訟参加

● 意義 他人間の訴訟に参加すること(民事訴訟法3章3節=42〜53条,他)。 種類 ・補助参加(42〜46条) ・共同訴訟的補助参加(学説) ・独立当事者参加(47・48条) ・訴訟承継 ・任意的当事者変更 ↑↓ ・法定当事者変更 ・当然承継 ↑↓ ・特定承継(49〜51…

督促手続

● 意義 債務者が債権者の主張を争わない場合に,債権者に債務名義を取得させる略式手続(民事訴訟法7編=382条〜402条)。 条件付請求はできない。 支払給付請求はできる。 代償請求もできる。 ▲ 要件 (支払督促の要件) 第三百八十二条 金銭その他の代替物…

簡易裁判所の訴訟手続特則

簡易裁判所は,簡易な手続により迅速に紛争を解決するのを特色とする(270条)ため,通常訴訟手続に対する特則が多くある(民訴法2編8章=270条〜280条)。 ■ 特則 訴え提起の簡素化 □口頭起訴(271条) □請求の原因でなく,紛争の要点で良し(272条) ?こ…

少額訴訟手続

● 意義 小規模な訴訟において,簡易な手続で紛争解決を目指す方法(民訴法6編=368条〜381条)。 原則 ・反訴禁止(369条) ・1期日審理の原則(370条) ・証拠調べの即時性(371条) ・証人尋問の適当性(372条) ・判決はすぐ言い渡す(374条) 調書判決可…

再審

●意義 法定の再審事由がある場合に認められる例外的不服申し立て(民事訴訟法4編)。 ○再審事由(338条1項) 1 種類 1〜10号 2 制限 柱但 ♪趣旨 当事者が攻撃・防御を精一杯尽くし,その結果判決が確定したのであれば,その判決は自己責任の下に,当事者に…

中間確認の訴え

●意義 訴訟係属中に,訴訟物の権利に先立つ権利・法律関係の確認を求める訴え(145条)。 ♪趣旨 ♪先立つ権利・法律関係に既判力を認める ▲要件 複雑請求の一般的要件(136条)+ 1 △先立つ権利・法律関係である 2 △確認請求である もし,本来の請求が取り…

反訴

●意義 継続中の本訴の手続き内で,被告が原告を相手方として継続中の本訴との併合審理を求める訴え(146条)。 単純反訴と予備的反訴がある。 ▲要件 1 △本訴請求または防御方法との関連(146条1項) 1) 本訴請求 =両請求が内容・発生原因において法律上・…

訴えの変更

●意義 原告が訴訟係属中に請求の趣旨または原因を変更すること(143条)。 訴えの追加的変更,交換的変更がある。 ○訴えの追加的変更 :旧請求を維持しつつ,新請求を加えること ○訴えの交換的変更 :旧請求に代えて,新請求を提起すること =訴えの取り下げ…

訴えの客観的併合

●意義 ○狭義(固有の訴え客観的併合) :1人の原告が1人の被告に対して当初から1つの訴えで複数の請求をすること(136条) ○広義(請求の併合) :訴えの提起後に請求の併合をすること ・訴えの変更(143条) ・反訴(146条) ・中間確認の訴え(145条) ・…

上訴

●意義 確定した裁判に不服がある場合に,上級裁判所に対して原判決の取消・変更を申し立てること(民事訴訟法3編)。 終局判決に対する控訴・上告,決定・命令に対する抗告がある。 ♪趣旨 ♪①裁判の正当性確保による当事者救済 ♪②法令解釈の統一 ▲要件 △①方式…

共同訴訟

● 意義 1つの訴訟手続に,複数の原告もしくは複数の被告が関与する訴訟形態(民事訴訟法1編3章2節=38〜41条)。 ♪趣旨 ♪①審理の重複回避 →主に通常共同訴訟 ♪②判決の矛盾回避 →主に類似必要的共同訴訟 ♪③手続保障 →主に固有必要的共同訴訟 種類 ・通常共同訴…

証明責任

● 意義 ある主要事実が真偽不明の場合に,その事実を要件とする法律効果が認められない一方当事者の不利益。 http://www5d.biglobe.ne.jp/~Jusl/JTWebHouka/JTHoukaYouken.html ♪趣旨 ♪裁判拒否の回避 概要 判決は裁判官の自由心証によって行われるのが原則…

当事者の意思による訴訟終了

●意義 当事者が、処分権主義に基づき、裁判によらずに訴訟を終了させること(261〜267条)。 種類 1)訴えの取り下げ 2)請求の放棄・認諾 3)訴訟上の和解 訴えの取り下げ ・○意義 :審判請求を撤回する旨の裁判所に対する意思表示 =「やめます」 ・△要件 …

当事者の訴訟行為

●意義 訴訟主体として、当事者が訴訟手続を発展させるために行う行為。 概要 訴訟行為は何も当事者だけに認められるものではなく、裁判所にとっても判決、訴訟指揮等において認められる。ただ、裁判所の訴訟行為は、それぞれの個所で問題になるのに対し、当…

口頭弁論

●意義 公開法廷において、直接口頭で弁論・証拠調べを行う審理方式。 原則 1)公開主義 :誰もが傍聴できなければならない →国民の司法への信頼+裁判の適正性確保(憲法82条1項) 2)当事者対等原則 :当事者双方に主張機会を平等に与えなければならない →…

訴訟物

●意義 審判の対象となる,訴訟上の請求。 概要 訴訟上の請求を“物”として特定する必要は,①裁判所にとって審判の対象を処分権主義(246条)のもとに決定すること,②被告にとって攻撃防御の主題を明確にして不意打ちを防止すること,の2点にある。 では,どの…

訴え提起

● 意義 裁判所に対して審理・判決を申し立てること(民事訴訟法2−1)。 種類 ・給付の訴え 現在の給付の訴え+将来の給付の訴え(135条) 請求認容判決には,既判力と執行力が生じる。 請求一部認容判決には,引換給付判決がある。 請求棄却判決には,既判力…

証拠調べ

●意義 裁判所が心証形成のためにする証拠方法の調査。 種類 ・証人尋問 ・当事者尋問 ・鑑定 ・書証 ・検証 総則 証拠調べは,当事者の申し出(証明すべき事実と証拠方法,及びそれらの関係(180条1項→規99条))を待って行われるのが原則(×例外→証拠調べの…

判決

●意義 裁判所が重要事項に関する裁判に用いる決定方式(民事訴訟法2編5章=243条〜260条)。 種類 ・訴訟判決 =門前払い判決 ・本案判決 ・終局判決(243条1項) 全部判決 確認判決 給付判決 形成判決 一部判決(243条2項) ↑by裁判官の裁量 確認判決 給付…

訴訟代理人

●意義 当事者のために当事者の任意(⇔法定)で選任された,訴訟行為の代理人(54条〜60条)。 あくまでも第三者(≠当事者)のため,証人にもなれる。 ♪趣旨 ♪訴訟能力の補充・拡張 ♪円滑な訴訟遂行 特に弁護士に関連 種類 ・訴訟委任に基づく訴訟代理人(狭…

当事者

●意義 訴訟において,判決・執行を求める者と求められる者(28条〜60条)。 種類 ・当事者能力(≒権利能力) 形式的当事者能力(29条) ↑訴訟法の擬制 権利能力なき社団・財団で代表者・管理人のあるもの ⊃組合(最判昭37・12・18) 代表者・管理人→法定代理…

訴訟要件

●意義 本案判決を得るために備える必要がある訴訟上の要件。 ≠訴訟成立要件 種類 ・裁判権 ・管轄権 ・当事者の実在 ・当事者能力 ・当事者適格 ・訴えの利益 ・訴状送達行為の適正性 ・訴訟費用の担保提供(or不提供) etc. ▼手続 ▽職権調査(+職権探知) …

訴訟の移送

●意義 裁判所が他の裁判所に事件を移送すること(16条以下)。 種類 ・管轄違いによる移送(16条) ・裁量的移送(17条,18条) することができる。 by職権or申立て for遅滞防止or当事者公平 ・必要的移送(19条) しなければならない。 by申立て for当事者 …

管轄

●意義 裁判所間の裁判権の分担の定め(4条以下)。 種類 <裁判所主体> ・職分管轄(役割で) 審級管轄 判決手続→受訴裁判所 強制執行手続→執行裁判所 ・事物管轄(内容で) 人事訴訟→家裁 140万以下訴訟→簡易裁 ↑価格算定(8,9条) ・土地管轄(場所で) …