訴訟参加

● 意義

他人間の訴訟に参加すること(民事訴訟法3章3節=42〜53条,他)。

  • 種類

・補助参加(42〜46条)
・共同訴訟的補助参加(学説)
・独立当事者参加(47・48条)
・訴訟承継
   ・任意的当事者変更
      ↑↓
   ・法定当事者変更
      ・当然承継
         ↑↓
      ・特定承継(49〜51条)
         ・参加承継・引受承継
・共同訴訟参加(52条)
・訴訟告知(53条)


■ 補助参加

  • ●意義

他人間の訴訟の結果につき利害関係を有する第三者が,どちらか一方のために訴訟に参加すること(42〜46条)。

第四十二条  訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。

ex.債権者→債務者←(補助参加)←保証人
ex.債権者→保証人←(補助参加)←債務者

  • ♪趣旨

♪①参加人が積極的に自己の主張をすることができ,
♪②被参加人にとっても味方がつくことから有利な訴訟展開が期待でき,
♪③紛争処理の統一的解決が図られるため,訴訟経済上も有益である

  • ▲要件

△他人間の訴訟であること
訴訟の結果利害関係がある
   訴訟の結果=?
   利害関係=法律上の利害関係
      ∵制度目的=補助参加人の法的利益の保護
      ≠感情的理由
      ≠事実上の利益

平成13年
第 2 問
 甲は,乙に対し,自己の所有するA土地について偽造書類によって甲から乙に所有権移転登記がされているとして,甲から乙への所有権移転登記の抹消及びA土地の所有権確認を求めて訴えを提起した。
 1  乙の債権者である丙は,甲乙間の訴訟に補助参加することができるか。
 2  甲乙間の訴訟の係属前にA土地を乙から買い受けたと主張する丁が甲乙間の訴訟に参加した。この場合に,丁は,それまでの訴訟の中で乙が自白した事実を争うことができるか。

★「訴訟結果の利害関係」東京高決平2・1・16百選106
<事実>
X(原告・反訴被告)は亡きAから生前贈与を受けて本件土地を取得したと主張し,Y(被告・反訴原告・被参加人)に対して所有権移転手続等を求めた。これに対してYは反訴を提起。請求原因は公証人Z(補助参加人・抗告人)の作成したAの遺言公正証書に基づく遺贈により,本件土地を取得したというものである。そして,ZはY側に補助参加の申立。理由は,①公正証書が無効であるとすれば法的責任を問われ,名誉を侵害される,②Xの請求が認められれば,Yから国賠訴訟を提起される可能性がある,というものだった。これにXが異議を申立,第1審は「訴訟参加には訴訟物たる権利関係に関する判断の結果につき利害関係を有する」ことが必要で,「理由中の判断によって直接間接に法律上の不利益を受けるという程度では足りない」として補助参加の申立を却下。Z抗告。
<判断>
抗告棄却。
Zの利益とは理由中の判断事項にすぎず,訴訟物それ自体についての判断の利益ではない。しかし,補助参加制度の趣旨にかんがみれば,本件公正証書の問題は訴訟の中心的争点であり,Zが訴訟物それ自体に利害関係を有しないとの一事をもって訴訟参加の利益を欠くと断ずるのは相当ではない。利害関係の内容・性質・程度を検討したうえで拒否を決するべきである。が,本件Zはこの基準でも本訴・反訴においても利害関係はない。

  • ◆効果

◇補助参加人の訴訟上の地位(45条)
   =独立性従属性
◇補助参加人に対して判決の効力が及ぶ(46条)
   =参加的効力(≠既判力)
      →被参加人と参加人の間の後訴に作用する
         ↑既判力より主観的範囲は狭い
      →理由中の判断にも及ぶ
         ↑既判力より客観的範囲は広い
   ×例外・・・1号〜4号

★「参加的効力」最判昭45・10・22百選107
<事実>
XはYに補助参加した裁判の判決理由と異なる請求原因を以ってYを提訴。Yは判決の効力は補助参加人であるXにも及ぶからXの主張は許されないと抗弁。控訴審は「裁判の効力は,訴訟物のみならずその前提たる認定事実や判断にも及」ぶとして控訴棄却。Xは46条の効力は既判力の拡張である(大判昭15・7・26)から,補助参加訴訟の判決効力は判決理由中の判断には生じないと主張して上告した。
<判断>
上告棄却。
46条の効力はいわゆる既判力ではなく,判決確定後補助参加人が被参加人に対してその判決が不当であると主張することを禁ずる特殊な効力であり,判決理由中の事実認定や先決的権利関係についての判断にも及ぶ。けだし,補助参加制度は自己の利益を守るために被参加人に協力して訴訟を追行することを認めた制度であり,参加した補助参加人に結果を負担させるのは衡平であり,また,46条が補助参加人に対する効力につき制約を付し,訴訟告知を受けたにすぎない者についてもこれと同一の効果の発生を認めていることからすれば,46条の効力は既判力とは異なる特殊な効力であると解するのが合理的だからである。
大判昭15・7・26はこの限度において変更する。
<整理>
参加的効力は明文で規定されたものではないため,理由付けが重要。

■ 共同訴訟的補助参加

  • ●意義

共同訴訟参加の当事者適格のない第三者が,補助参加すること(解釈)。
ex.破産管財人の訴訟に参加する破産者
ex.債権者代位訴訟に参加する債務者
ex.取締役選任の株主総会決議取消訴訟の当該取締役

  • ♪趣旨

♪(判決の効力を受ける)補助参加人の利益保護

  • □参加人の地位

・被参加人の行為と抵触する行為もできる
・上訴期間の独立起算


■ 独立当事者参加

  • ●意義

三者が継続中の訴訟の原告・被告の双方もしくは一方に対してそれぞれ請求を立て,同一手続で判決を求める訴訟形態(47条)。

第四十七条  訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者又は訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は、その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる。

形式的には訴訟参加だが,実質的には新訴提起。

?上告審で独立当事者参加できるか
できない。上告審は法律審であるため,参加人の請求の当否について審査することができない。
  • ♪趣旨

♪紛争の一挙統一的解決
   =三者以上のものが相対立する場合に二当事者間訴訟しなくても良い

  • ▲要件

△他人間に訴訟が継続している
   原始的独立当事者参加は認められない
△原告・被告の双方もしくは一方を相手方として請求を求めること
△参加の利益がある
   ・間接的に権利が害されるかもしれない:詐害防止参加(47条1項前段)
      直接的なのであれば普通の参加

★「権利が害せられる」最判昭42・2・23
所有権移転登記の抹消登記手続請求訴訟において,被告の債権者として当該不動産について強制競売開始決定を得た第三者は,民事訴訟法47条にいう訴訟の結果によって権利を害せられるべきことを主張する第三者に当たる。

   ・訴訟の目的たる権利関係が自分のものである:権利主張参加(47条1項後段)
      当事者の請求と論理的に両立する主張であれば普通の参加

元来の当事者の脱退(48条) 独立当事者参加の場合,元来の当事者は,相手方の同意を得て訴訟を脱退できる(48条前段)が,判決の効力は脱退した元来の当事者にも及ぶ(48条後段)。しかし,この判決の効力が何を指すかが問題となる。既判力を認めるだけだと,脱退者に対する執行力を得るために別途給付訴訟を提起する必要があり,かといって参加的効力を認めるためには基礎となる協力関係がない。そこで,訴訟脱退の法的性質はどのようなものかが問題となるが,脱退した者は,その地位を残存者に引き継がせることを条件とし,参加人及び相手方と自己との間の請求について予告的に放棄・認諾する性質を持つ訴訟行為であると解する。つまり,脱退者が受ける判決の効力とは,いずれかの勝訴により現実化した放棄または認諾の効力である。
  • ◆効果

◇40条1項2項3項準用(47条4項)
   ∵①合一判決の要請
   ∵②手続保障の要請

  • ?問題点

?二当事者間のみでなされた訴訟上の和解の効力

?有効か
独立当事者参加の制度目的は紛争の統一的解決であるのに,二当事者間の和解を認めると,紛争が細分化し,制度目的を果たしえない。無効と解すべきである。


?上訴との関係
   ・2敗訴当事者の一方だけが上訴した場合のもう一方の地位
      前提:上訴不可分の原則により,移審はする
      上訴人? 被上訴人? (40条1項? 2項?)
      実際的問題・・・上訴人は単独で上訴を取り下げられるか否か

★「上訴しなかった敗訴当事者の地位は・・・」最判昭50・3・13
<判断>
被上訴人(上訴の提起には40条2項が準用される)。
<補足>
自ら上訴しなかった消極的な者に,積極的に争う上訴人の地位を与えるべきではない。仮に,上訴人が上訴審でも敗訴した場合には,上訴の費用を負担することになり,不利益な結果をもたらすのは自明である。

   ・上訴審の審判範囲


?債権者代位訴訟との関係

★「債権者代位訴訟と・・・」最判昭48・4・24百選A42
<事実>
本件土地の賃借人であるXは,賃貸人Zに代位して,土地上にある建物の所有者であるYに対し,建物収去土地明渡し訴訟を提起。が,Zは,XのYに対する土地の無断転貸を理由に,Xに対しては賃借権不存在確認を,Yに対しては所有権に基づく建物収去土地明渡しをもとめて独立当事者参加。ここで問題となったのが,①Yは,XとZの両方から請求を受けることになるため,二重起訴の禁止に触れるのではないかということと,②Xは,Zに反旗を翻されたので,債権者代位訴訟の権利,すなわち原告適格を失ったのではないか,という点である。
<判断>
①二重起訴には触れない ∵債務者(賃貸人自身)のためには,訴えを提起する特別の必要が認められる。審理の点でも,必要的共同訴訟の規定が準用されるのだから,被告や訴訟経済等において問題はない。
②債務者が,債権者が代位訴訟に着手,または通知,もしくは債務者が了知したときは,債務者は訴訟目的物の処分権限=訴えの提起ができなくなる(大判昭14・5・16)ことは,独立当事者参加の場合も同様である。

■ 訴訟承継

  • ●意義

実体関係の変動の結果,当事者に変更が生じること。
○任意的当事者変更
○法定当事者変更
   ○当然承継
   ○特定承継(狭義の訴訟承継)
      ○参加承継
      ○引受承継

  • ♪趣旨

♪当事者の既得の地位の保障
♪裁判の維持(訴訟経済)

■ 任意的当事者変更
  • ●意義

訴訟係属後,当事者が間違っていることに気づいたとき,当事者を任意に変更すること。
直接の規定は,ない。
⇔法定当事者変更=訴訟承継・共同訴訟参加等
=新訴の提起+旧訴の取り下げ=複合行為
ex.「部落開放同盟中央本部」→「部落開放同盟」・・・OK(東京地判平成6・16・6)
ex.「豊橋市長」→「豊橋市」・・・だめ(名古屋地判昭和49・8・13)・・・行政訴訟は認められない傾向

  • ▲要件

△1審継続中である
   新当事者の審級の利益保護
△訴え取り下げの要件の具備
△共同訴訟の要件の具備

  • ◆効果

◇旧訴状の補正利用が可能になる
◇印紙の貼付不要


■ 当然承継
  • ●意義

法律上,当然に当事者の交代する場合のこと(124条)。
6種類の承継原因がある(同条1項各号)。

一  当事者の死亡
     相続人、相続財産管理人その他法令により訴訟を続行すべき者
二  当事者である法人の合併による消滅
     合併によって設立された法人又は合併後存続する法人
三  当事者の訴訟能力の喪失又は法定代理人の死亡若しくは代理権の消滅
     法定代理人又は訴訟能力を有するに至った当事者
四  当事者である受託者の信託の任務終了
     新受託者
五  一定の資格を有する者で自己の名で他人のために訴訟の当事者となるものの死亡その他の事由による資格の喪失
     同一の資格を有する者
六  選定当事者の全員の死亡その他の事由による資格の喪失
     選定者の全員又は新たな選定当事者

■ 特定承継
  • ●意義

当事者と第三者に特定承継が生じた場合に,承継人が訴訟に参加する形態。
狭義の訴訟承継。
参加承継(49条・51条前段)
   係争物を承継し,新たな紛争主体となった承継人自らが,被承継人の地位の承継を申し立てること
引受承継(50条1項・51条後段)
   係争物を承継し,新たな紛争主体となった承継人に対し,訴訟当事者が被承継人の地位の承継を申し立てること
   =被承継人が承継人を引き込む場合+被承継人の相手方が引き込む場合

参加承継は自分から「参加します」というくらいなのだから,それなりの不利益甘受は想定しうる。これに対して引受承継は「参加してください」というお願いだから,それなりのおもてなし(手続保障)が必要となる。ゆえに,問題点は後者に集中する。

★「明文なき主観的追加的併合」最判昭62・7・17百選105
<事実>
XはAに対して瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求訴訟を提起。その中で,Aの責任はYの関連もあったとして請求の趣旨を「AとYは連帯して支払え」と改めた。そこで,裁判所は新訴としての手数料を納付せよと命じたがX応じず。このため,裁判所は訴え却下。X控訴。控訴棄却。X上告。
<判断>
上告棄却。
このように訴えを追加して1個の判決を得ようとする場合,別訴を提起した上で口頭弁論の併合(152条)を裁判所に促し,判断を受けるべきである。けだし,①このような併合を認める明文の規定はないし,仮にこれを認めたとしても②新訴で旧訴訟の状態を当然に利用することができるかどうかは問題があり,必ずしも訴訟経済にかなうものとはいえないし,③濫訴が増えるおそれがあり,新訴の提起時期によっては訴訟の遅延を招きやすいからである。

  • ▲要件

係争物について
   係争物>訴訟物
特定承継がある
   訴訟物の移転・設定

★「引受承継人の要件(と効果)」最判昭41・3・22百選113
<事実>
XはYに土地を賃貸していたが,Yがその土地の上に所有していた建物の無断増築をしたため,解除及び期間満了を理由とする建物収去土地明渡し請求を提訴。その訴訟中,YはZに建物の一部を賃貸。このためXはZに退去を求め訴訟引受の申立をし,裁判所も認容。これに対しZは「Yに対する請求は債権的請求。私に対する請求は所有権に基づく物権的請求。両者は異質であるから,私は承継人には該当しない」と反論。
<判断>
建物の収去義務は,建物から立ち退く義務を包含するから,占有が承継されれば紛争の主体たる地位も承継される。賃貸人に対する退去義務の存否は,賃貸人だけでなく賃借人の主張・証拠を無視して決することができない。物権・債権の違いによって叙上の理は左右されない。

  • ▼手続

@参加承継
   ▽独立当事者参加の方式(51条前段)
@引受承継
   ▽訴訟引受けの申立て(50条1項)
      ↓
   ▽引受決定(同条2項)

  • ◆効果

◇承継人への訴訟状態帰属
@参加承継
   ◇必要的共同訴訟になる(51条前段→47条4項→40条1項2項3項)
@引受承継
   被承継人が脱退した場合・・・
      ◇二面訴訟になる
   被承継人が脱退しない場合・・・
      ◇弁論・裁判の分離が禁止される(51条後段→50条3項→41条1項3項)
         =同時審判申出共同訴訟の準用


■ 共同訴訟参加

  • ●意義

訴訟係属中,第三者が原告か被告の必要的共同訴訟人として参加すること(52条)。

第五十二条  訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合には、その第三者は、共同訴訟人としてその訴訟に参加することができる。

明文がない場合の共同訴訟参加 共同訴訟参加ではないが,関連性のある訴訟に参加することも可能。
要件=38条前段の要件具備
効果=通常共同訴訟になる
  • ▲要件

△訴訟が継続中であること
△参加人に判決効が拡張されることがあり,かつ当事者適格を有すること

  • ▼手続

▽趣旨・理由を書面で示す(52条2項→43条・47条2項3項)

  • ◆効果

◇類似必要的共同訴訟になる

★「コップの中の当事者適格」最判昭36・11・24百選111会社百選35
<事実>
Y会社の株主であるXらは,株主総会決議について招集手続の瑕疵があったとして取消し決議をY会社に対して提訴。Y会社は徹底して争う姿勢を見せ・・・ると思われたがなんら争わず。原因はXとYの馴れ合い。これに対して先の株主総会で取締役に選任されたZはY会社に52条を根拠に参加申立。理由は,「判決効の拡張により不当に利益が侵害されるのに決議の対象になった主体が被告として参加できないのは不当である。したがって,取消し訴訟はむしろ会社と当該役員を共同被告にする必要的共同訴訟になると解すべきである」。尚,Zはすでに取締役を辞任している。
<判断>
52条の規定により訴訟に参加することが許されるためには法文の理由のほか,当該訴訟の当事者となりうる適格を有することが要件となっていることは,同条の法意に徴し,明らかである。本件の場合,Zに申し出が許されるには被告適格が必要である。が,取消訴訟の被告適格はY会社のみにあるから,Zには被告適格がない。被告適格がないから,参加は許されない。
<整理>
この判決について谷口安平は「会社の決議の実質的意思表示を下すのは株主であり,その意味で処分権を持っているのは会社ではなく株主である。会社訴訟はコップの中の争いであり,会社はいわばコップであり,会社自体は判決の効力が及ぼされる対象にすぎず,実際には紛争の当事者となっている者が正当な被告である」*1と主張。この説によればZは共同訴訟参加ができそうであるが,Zはすでに取締役を辞任しており,同じく当事者参加のひとつである47条1項後段の要件との整合上,Zに共同訴訟参加を認めるべきではないと考えられる。そうすると,Zのとりうる手段は独立当事者参加(47条1項前段)か,補助参加(42条)であろう。

■ 訴訟告知

  • ●意義

訴訟当事者が訴訟参加できる第三者に,法的の方式により訴訟係属の事実を通知すること(53条)。

第五十三条  当事者は、訴訟の係属中、参加することができる第三者にその訴訟の告知をすることができる。
2  訴訟告知を受けた者は、更に訴訟告知をすることができる。
3  訴訟告知は、その理由及び訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してしなければならない。
4  訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合においても、第四十六条の規定の適用については、参加することができた時に参加したものとみなす。

  • ♪趣旨

<告知者にとって>
   ♪被告知者の助力による有利な訴訟展開
<被告知者にとって>
   ♪訴訟参加による自己の利益保護

  • ▲要件

△訴訟係属中である(53条1項)
△告知権者に告知権がある(53条1項2項)
△被告知者に参加権がある(53条1項)
   ≒参加の利益がある(42条)

  • ◆効果

参加的効力発生(53条4項)
   参加した場合
   参加することができたときに参加しなかった場合
   ・主観的範囲

?告知者が被告知者に告知をしたが,被告知者が相手方に補助参加してしまい,かつ,告知者が敗訴した場合,この告知者敗訴の参加的効力は被告知者に及ぶか
訴訟告知の制度目的は,告知者と被告知者の自己利益が,相互の協力関係によって満たされる場合に,その協力を法的に補助するためのものであると考えられる。したがって,被告知者が告知者側に補助参加せず,相手方に補助参加した場合には,もはやこの協力関係は期待しえないのであるから,このような場合に,被告知者に参加的効力は及ばないと解すべきである。

   ・客観的範囲

★「参加してないのに参加的効力?」最判平14・1・22百選108
<事実>
XはYとAがなした請負契約に基づきカラオケボックス用のテーブル等を納入。が,代金支払がないからAを提訴。Aは「Yが買ったものだ」と主張したため,XはYに訴訟告知をしたがYは補助参加せず。この訴訟は「Xの請求棄却。∵テーブルはAが買ったとは認められない(傍論:Yが買った)」として幕を閉じた。
このため,Xは改めてYを提訴。が,Y欠席。Xの請求全部認容。Y控訴。原審は「前訴ではAが買っていないとされたのだから,二者択一的にYが買ったことになった。前訴においてYは利害関係があったのに参加しなかった。だから,前訴の効力は参加しえたYに及ぶ」として控訴棄却。Y上告。
<争点>
①Yはそもそも利害関係(42条)があったのか(参加的効力の主観的範囲)
②参加的効力の客観的範囲
<判断>
破棄差戻し。
①利害関係=法律上の利害関係=参加人の私法上または公法上の法的地位または法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合(最判平13・1・30重判平13民訴2)。XとAの訴訟においては,Yは利害関係がないから,Yは訴訟告知を受けたからといって判決の効力(参加的効力)が及ばない。
②42条の効力は理由中にも及ぶが(最判昭45・10・22百選107),これは判決主文を導き出すために必要な主要事実にかかる認定・法律判断をいう。けだし,これで必要充分で,傍論にも及ぶと解すべき理由はない。前訴の判決理由は「Aが買っていない」という記載は主要事実にかかる認定だが,「Yが買った」という記載はそうでない。

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民事訴訟法判例百選 (別冊ジュリスト (No.169))

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