簡易裁判所の訴訟手続特則

簡易裁判所は,簡易な手続により迅速に紛争を解決するのを特色とする(270条)ため,通常訴訟手続に対する特則が多くある(民訴法2編8章=270条〜280条)。


■ 特則

  • 訴え提起の簡素化

□口頭起訴(271条)
請求の原因でなく,紛争の要点で良し(272条)

?この請求の要点をもとに欠席判決をすることができるか
紛争の要点とは,請求の原因(133条2項2号)の特則であり,請求の原因のように,法律構成をせずとも,どのような根拠で請求をするのかをまとめたものをいう。請求の原因のように,法律構成をしなくてもいいため,国民に利用しやすくなっているはずである。そして,欠席判決とは,訴訟の一方当事者が欠席した場合に,出席当事者の主張のみに基づいてなされる欠席当事者にとって不利な判決を言う。欠席判決のためには擬制自白(159条1項3項)が認められなければならないが,この場合の紛争の要点において,擬制自白の範囲が問題になるのである。

□不動産訴訟の必要的移送(19条2項)
□反訴提起に基づく必要的移送(274条)
□裁量移送(18条)

  • 審理の簡易化

□書面準備不要(276条1項)
擬制陳述拡張(277条)
□書面尋問可能(278条)
□司法委員の立会(279条)
   ○司法委員:裁判官の補助をする民間人
□判決書の簡素化(280条)


■ 訴え提起前の和解

訴え提起前の和解とは,訴訟が係属していない場合の裁判上の和解である(275条)。1500円。即決和解ともいう。訴訟が係属していないから,執行力がない・・・かと思いきや,ある(267条)。これは,和解成立を調書に記載する(規169条)ことによる。
和解が整わないような場合,当事者双方の申立てがあれば,裁判所が訴訟の弁論を命ずる(275条2項)。