口頭弁論

  • ●意義

公開法廷において、直接口頭で弁論・証拠調べを行う審理方式。

  • 原則

1)公開主義
  :誰もが傍聴できなければならない
  →国民の司法への信頼+裁判の適正性確保(憲法82条1項)


2)当事者対等原則
  :当事者双方に主張機会を平等に与えなければならない
  →公平な裁判(憲法32条、プロセスのデュー)


3)口頭主義
  :口頭で行われなければならず、口頭で行われたものだけが訴訟資料となる
    ∵気持ちが伝わる
  →真意の把握、臨機応変
  ↑書面による補完


4)直接主義
  :判決をする裁判所が自ら行う(249条1項)
  →弁論内容と判決内容との合致
  ×例外↓
    (1)弁論の更新(249条2項)
      @裁判官交代の場合
      口頭弁論の「結果」を述べるだけでよい
        ∵訴訟経済
      証人尋問は申し出によってやり直し可能(3項)
    (2)受命・受託(184・185・195条)
      「君、頼むよ」=受命
      「もしもし、頼むよ」=受託

  • 必要的口頭弁論・任意的口頭弁論

判決で裁判をなすべき場合には、必ず口頭弁論を開かなければならない(87条1項=必要的口頭弁論の原則)。これは、口頭弁論こそが、上記原則により裁判の適正性・公平性を確保できるとされるからである。例外は、書面審理によって判決できる場合(あ)(い)(う)(え)(お)、および擬制陳述の場合となる。
これに対し、決定裁判の場合は口頭弁論の開催は任意である(87条1項但=任意的口頭弁論の原則)。審理の慎重さよりは簡易・迅速性が要求されるためだが、この場合口頭弁論は書面審理の補充の役割を果たす。そして、口頭弁論自体の例外として審尋が認められる(2項)。だが、口頭弁論である以上、公開は要求される。

  • 準備

当事者照会(168条)
  :当事者が相手方に書面による照会を求める制度
  信義則上の回答義務(2条)


準備書面(161条〜)
  :当事者が口頭弁論で陳述しようとする内容を記した書面
    =一種の台本
  →口頭弁論の充実・不意打ち防止
  提出しなければならない(161条1項)
  あくまで台本→口頭弁論してはじめて裁判資料となる
    でも、欠席の場合の陳述擬制
  答弁書提出後は訴えの取り下げには被告の同意が必要(261条2項)
  提出されなければ新たな主張ができない(3項)


・争点整理手続
  (1)準備的口頭弁論
  (2)弁論準備手続
  (3)書面による準備手続

  • 実施

・原則
  ・継続審理主義(182条)
    :ひとつの事件の口頭弁論が終わらなければ、他の事件に移行できない
    ⇔併行審理主義
  ・適宜提出主義(156条)
    :攻撃防御は適切な時期にくりださなければならない
    ⇔随時提出主義

?適切でない時期とはどのようなことをいうか
もっと早く提出できたであろうにもかかわらず、遅延して提出した時期をいう。
?だとしてもやむをえない事情も考えられる
そのため、当事者の故意・重過失が加えて要件となる(157条1項)。


・変更(152・153条)
  (1)弁論の制限
    :「今はこれに集中」
    →審理の整理
  (2)弁論の分離
    :「錯綜しているから、別々にやる」
    →訴訟の迅速化、審理の単純化
  (3)弁論の併合
    →審理の整理、矛盾判決防止
    152条2項
  (4)弁論の再開
    常に職権で行われる


・当事者の欠席
  ・一方当事者の欠席@最初の期日
    →陳述擬制(158条)
    →擬制自白(159条3項)

準備書面によりすでに自白がなされていた場合、それは裁判上の自白なのか、それとも擬制自白なのか
裁判上の自白である。158条により準備書面の内容が陳述したものとみなされるし、欠席した当事者に対してそれを認めても、なんら不意打ちとなるものではない。

  ・一方当事者の欠席@続行期日
    →158条適用なし
      ∵「最初にすべき・・・」
  ・当事者双方の欠席
    →訴え取り下げの擬制(263条)
      1月以内に期日の申し立てがない場合(前)
        ↑をしたけど連続2回欠席した場合(後)
  これらの場合でも、終局判決はできる(244条)

  • φメモ

条文を読んだほうが早い。