刑事訴訟法

被疑者の身体保全

■ 逮捕 通常逮捕(199条1項) 嫌疑の相当性と逮捕の必要性が必要(同条2項)。 取り調べ目的での逮捕は禁止。弾劾的操作観。 不出頭それ自体は逮捕の理由にはならないが,逮捕の必要性が推認される可能性はある。 現行犯逮捕(213条) 令状主義の例外。 ・現…

証拠法

● 意義 証拠・証明に関する法規の体系。 ○証拠 :要証事実の存否につき,裁判官が判断を下す際の根拠資料。 (要証)事実認定は,証拠による必要がある(317条)。 ×例外 →不要証事実 ・公知の事実 ・法律上推定された事実 事実認定 →裁判官が自由な心証によ…

挙証責任

● 意義 ○形式的挙証責任 :不利益な判断を受けるおそれのある当事者が, これを免れるために行う立証活動の負担。 ○実質的挙証責任 :要件事実の存否が不明であるときに, これによって不利益を受ける当事者の地位。 →検察官が負担する。 ↑ 「疑わしきは被告…

訴因変更

● 意義 個々の訴因の内容に変更を加えること(刑事訴訟法312条1項)。 ○<広義>=変更+追加+撤回 ?訴因とは何か 訴因とは,検察官が起訴状において,審判対象として記載した犯罪事実を言う(刑事訴訟法256条2項3項)。この点,刑事訴訟法の本質を職権主…

再審

●意義 事実認定の不当を救済するためにもうけられた非常救済手続(刑事訴訟法4編)。 再審請求審の審理と,再審公判の審理があり,前者には再審の理由(435条)が必要であり,後者には利益再審(452条)しか認められない。 ♪趣旨 ♪誤判(無辜)救済 再審理由…

当事者

検察官 公益の代表者として,訴訟遂行を任務とする公務員。 検事総長,自庁検事,検事長,検事,副検事に分かれる。 検察官=独人制の官庁:一人ひとりが独立して権限を有する 検察官に個性はない=検察官同一体の原則 法務大臣の指揮権 検察官は行政機関の…

裁判所

●意義 ○国法上の裁判所 :①司法行政権を行使する機関たる官庁としての裁判所 :②補助機関たる関連職員を含めた単位である官署としての裁判所 ○訴訟法上の裁判所 :裁判官によって構成される裁判機関としての裁判所 ○裁判官 :裁判権の行使を担当する国家公務…

違法収集証拠排除法則

●意義 証拠収集手続に違法があった場合,そこから得られた証拠を訴訟から排除するルール。 供述証拠については憲法38条2項,刑事訴訟法319条1項がある。 →排除法則は控除的に非供述証拠に対応 直接の根拠条文は,ない。 ★「排除法則をはじめて認めた判例」最…

共同被告人の証拠

序 共同被告人とは,別個の刑事事件が併合審理された場合のそれぞれの被告人のことをいう。併合審理自体は,証拠共通等のメリットがあるが,他方で,それぞれの被告人の利害が相反し,かえってデメリットとなることもある。ということで,併合審理は諸事情を…

自然的関連性

●意義 証拠と,証明しようとする事実との論理的関連性。 科学的捜査等において問題になる。 自白法則,伝聞法則などは法律的関連性。 関連性がなければ,証拠足り得ない。 =証拠能力は証明力の延長線上にある 具体例 ・前科による事実認定 ★「またかよと思…

伝聞法則

●意義 伝聞証拠には証拠能力を認めないルール(刑事訴訟法320条1項,憲法37条2項)。 ○伝聞証拠 :反対尋問をしえない供述証拠 ↑趣旨の反対 ○非伝聞 :一見伝聞証拠だが,要証事実との関係上伝聞証拠ではないもの ★「百聞は一見にしかず」最決昭59・12・21百…

自白法則

●意義 任意性のない自白の証拠能力を制限するルール。 自己の犯罪事実を認める被告人の供述を自白という。 有罪であることを認めることを自認という。 自己に不利益な事実を認めることを承認という。 自白の証拠能力 ・根拠 刑事訴訟法319条1項 憲法38条2項 …

上訴

●意義 未確定の裁判に対し,上級裁判所の審判による是正を求める不服申し立て(刑事訴訟法3編)。 控訴・上告・抗告がある。 ♪趣旨 ♪①原判決の誤り是正による真実発見 ♪②法令解釈の統一 ♪③被告人の具体的救済 ▲要件 △①上訴権者であること =裁判を受けた者=…

公判手続

●意義 公訴提起〜判決確定までの全過程(刑事訴訟法3章1節等)。 公訴提起〜公判準備〜公判手続〜判決確定〜訴訟終了 狭義:公判期日における手続@公開の法廷 諸原則 1 公開主義 :一般の国民の公判の審判を公開すること ♪趣旨=公平な裁判の担保+国民の…

訴訟条件

●意義 刑事裁判の実体審理をするために必要な条件。 =訴訟成立要件≠訴訟要件(∵≒判決要件) 種類 ・管轄(329条) 事物管轄 罰金等→簡易裁 禁固以上→地裁 <免訴(337条)> ・すでに確定判決を得ている(1号) ⊃略式命令(最判昭35・7・15) ⊃常習一罪の部…

弁護人依頼権

●意義 被告人or被疑者が弁護人を選任し,その援助を受ける権利(30条以下←憲法37条3項)。 種類 ・私選弁護人 ・国選弁護人(36条以下) 被告人のみ(with貧困要件) →この制度の隙間を埋めるのが「当番弁護士」 http://www.nichibenren.or.jp/jp/soudan/tai…

公訴提起

●意義 裁判所に対する刑事訴追手続の提起(247条以下)。 ▼手続 <公訴権者> ▽検察官のみ(247条)(←「国家訴追主義」⇔「私人訴追主義」) 自由裁量(訴追裁量)で(248条)(←「起訴便宜主義」⇔「起訴法定主義」) 取消しもできる(257条) ?訴追できる…

人的証拠収集

●意義 捜査機関が行う,供述証拠の収集(取り調べ)。 種類 ・被疑者の取り調べ ⊃任意取り調べ ⊃逮捕・勾留中の取り調べ ・参考人の取り調べ ・証人尋問 ▲要件 △対象者の「任意」 ただし,逮捕・勾留中の場合には取り調べ受認義務(198条1項但書反対解釈)。…

勾留

●意義 被疑者または被告人を拘禁する裁判、およびその執行(60条以下(被告人)、204条以下(被疑者))。 ≠拘留 種類 ・被疑者勾留 ・被告人勾留 ▲要件 △嫌疑の相当な理由∩各号のいずれか(1∪2∪3)(60条1項)*1 「相当な理由」は逮捕時よりも高い嫌疑でな…

逮捕

●意義 捜査機関(+私人も)が被疑者を拘束すること。 種類 ・通常逮捕(199条1項) ・現行犯逮捕(212条1項)⊃準現行犯(212条2項) 準現行犯 罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるとき∧各号いずれか*1 ・緊急逮捕(210条1項) ▲要件 △強制処分…

物的証拠収集

●意義 裁判官が判決を下す根拠となる資料の収集。 ▲要件 △令状主義 一般令状の禁止←対象物等の「明示」が必要(憲法33*1,35条*2)→刑訴法219条 適用法条の明示は不要(最大決昭33・7・29)。 合理的解釈により,特定できればよい(最決昭30・11・22)。 概…

捜査

●意義 捜査機関が公訴提起,有罪判決獲得のために行う活動。 捜査機関 司法警察職員(現場)←(指揮)←検察官(会議室) ▲要件 △任意捜査の原則(197条) △強制処分法定主義(197条但書) ↑立法権による抑制 △強制処分令状主義(憲法33,35条) ↑司法権によ…

捜査の端緒

●意義 犯罪捜査のきっかけ。 ▲要件 △任意性←197条の「趣旨」∵捜査≠捜査の端緒 ・必要性 ・緊急性 ・相当性 △行政警察活動の場合→法的根拠←「法律による行政」 種類 ・職務質問(警職法2条1項) ⊃所持品検査 ・自動車検問 警察法2条1項*1(判例) 警職法2条1…