当事者

  • 検察官

公益の代表者として,訴訟遂行を任務とする公務員。
検事総長,自庁検事,検事長,検事,副検事に分かれる。
検察官=独人制の官庁:一人ひとりが独立して権限を有する
検察官に個性はない=検察官同一体の原則

法務大臣の指揮権 検察官は行政機関の一部だから,当然内閣の下にあるが,かといっていちいち法務大臣が口出ししていれば,司法権の独立を侵しかねない。このジレンマ解決のため,法務大臣が検察官に指揮権を行使できるのは検事総長を介してだけ(検察庁法14条但書)である。

捜査もするが,司法警察職員に対する補充的な権限
重要な仕事は,公訴提起(247条)
  起訴便宜主義(248条)もある
「検察官は公判だけやっていればいい」という考えとしての検察官公判専従論
「検察官は被疑者・被告人の保護者としても活動すべきだ」という考えとしての検察官準司法官論


司法警察活動と行政警察活動のうち,前者を行う場合の警察官(189条1項)。
警察権の行動に際する3原則
  ①警察公共の原則
    :警察はあくまで公共的活動である
    私生活不可侵の原則
    私住所不可侵の原則
    民事不干渉の原則
  ②警察責任の原則
    :警察権の行使は,事件の責任を有する者に対してのみできる
  ③警察比例の原則
    :警察権の行使は,必要最低限度にとどめるべき
検察官とは協力関係にある(192条)


  • 被疑者・被告人

被疑者・被告人には人権保障のため弁護権がある
具体化したのが弁護人依頼権(憲法34条)
↑権利告知が必要
?権利告知の内容
?権利告知の機会


  • 弁護人

被疑者・被告人の権利・利益の擁護が任務
  →負う義務は消極的妨害回避義務
    →有罪を主張する者に無罪の弁護ができる
    ↑証拠隠滅や偽証の勧めはだめ
接見交通権,勾留理由開示請求権,勾留取消請求権,勾留・押収等の裁判に対する準抗告権,接見制限・押収処分等に対する準抗告権,証拠保全請求権などがある


  • 外国人被疑者・被告人

適正手続(憲法31条)は日本人と同程度に保障される
関連)175条・177条・223条1項・裁判所法74条
義務ではないが,権利告知も理解できるようにするべき
  ∵防御
被疑者段階の取り調べも同様

★「ペルシャ語」東京高判平2・11・29百選44
271条1項及び裁判所法74条によれば,日本語の起訴状であっても適用である。ただ,起訴状の送達は,被告人に「告知と聴聞憲法31条)」の機会を与えるものだから,訳文が添付されていたり,通訳によって起訴状の内容を知る機会が与えられることが好ましい。もっとも,公判手続全体を通じて「告知と聴聞」の機会は与えられる。本件でも,被告人らは通訳人を介して内容をペルシャ語で伝えられている。

  • 国選弁護人

国選弁護人:裁判所・裁判長が選任する弁護人。
請求による場合(36条本文),職権による場合(37条),必要的弁護の場合(289条2項)がある。
・選任請求
  明確な意思表示が必要
    「金がないから弁護人は私選しない」←だめ(最判昭25・6・23)
  被告人にやる気がない→選任請求=権利濫用(規1条2項)(最判昭54・7・24)
  私選弁護人の選任→国選弁護人の解任事由(福岡高判昭37・9・18)
?国選弁護人の選任行為の法的性質
  =裁判長の命令
    →命令権者の解任手続がない限り,当然には辞任は認められない