挙証責任

● 意義

○形式的挙証責任
   :不利益な判断を受けるおそれのある当事者が,
    これを免れるために行う立証活動の負担。
実質的挙証責任
   :要件事実の存否が不明であるときに,
    これによって不利益を受ける当事者の地位。
    →検察官が負担する。
       ↑
    「疑わしきは被告人の利益に
       ≒「無罪の推定
       ↑
    憲法31条+刑訴法336条
       ↓
    「合理的な疑いを容れない程度」の証明が必要
       =
    通常人なら誰でも疑いを差し挟まない程度の真実らしいとの確信
       (最判昭和23・8・5)


■ 挙証責任の転換

  • 犯罪阻却事由
?転換されるのか
そもそも挙証責任は憲法上・刑訴法上の特別の要請であり,本質的には当事者が対等に負うものである。検察官は犯罪の成立について,合理的な疑いを容れない程度の証明をすればよく,違法阻却事由などの被告人の利益になる事実の挙証責任は,被告人にある。
  • 明文上の挙証責任の転換

・刑法230条の2(名誉毀損の事実証明)
・爆発物取締規定6条
など

?合憲か
このように,明文上挙証責任が転換されたものは,その転換が検察官に一方的に挙証責任を負わせるよりも,合理的であるからだと推察される。たとえば,名誉毀損の事実証明は一種の犯罪阻却事由であり,それは被告人の利益になるものだから,挙証責任が転換されても問題ないといえるだろう。結局,挙証責任の転換に合理性が保ちえればよい。