裁判所

  • ●意義

○国法上の裁判所
  :①司法行政権を行使する機関たる官庁としての裁判所
  :②補助機関たる関連職員を含めた単位である官署としての裁判所
○訴訟法上の裁判所
  :裁判官によって構成される裁判機関としての裁判所
  ○裁判官
    :裁判権の行使を担当する国家公務員
    6種類ある


  • 管轄

・●意義
  特定の裁判所が特定の裁判をなすことができる権限(1編1章,裁判所法)


・事物管轄
  →簡易裁判所
    裁33条1項2号
    裁33条2項
  →地方裁判所
    裁24条2号


・土地管轄
  2条1項

  • 公平な裁判所

公平な裁判所(憲37条1項)とは,組織・構成面において偏頗なき裁判をする裁判所のことをいう。憲法は37条1項以外にも,76条3項で司法権の独立を規定し,78条でそれを支える裁判官の身分保障を定めるが,なぜ,公平な裁判所の規定が,司法の章(6章)にないのか。それは,公平な裁判所が,あくまでも被告人の人権保障を目的とするものだからである。
また,公平な裁判所は,単に組織・構成の面だけではなく,手続の面でも公平でなければならない。


1 組織・構成の面
  1) 除斥・忌避・回避
    ア 除斥(20条)
      :不公平な裁判をする虞のある裁判官を,機械的に裁判から排除する制度
      違反は絶対的控訴理由(377条2号)
    イ 忌避(21〜25条)
      :不公平な裁判をする虞のある裁判官を,当事者の申立により裁判から排除する制度
      濫用は禁止(24条)

★「チェンジ」最決昭48・10・8百選54
<事実>
弁護人の控訴棄却の申立が2時間経過したころ,内容の重複を理由に裁判長が陳述を制限。これに対して傍聴人の一部が裁判長の訴訟指揮にクレーム,裁判長これに警告,・・・などなどを繰り返すうちに法廷は騒然。この後にもいろいろあって,裁判官の忌避が許されるかどうかが問題となった。特別抗告の理由は憲法37条違反等。
<判断>
裁判官忌避の制度は,当該事件の手続き外の要因により,公平な裁判を期待できなそうな裁判官を事件の審判から排除し,裁判の構成・信頼を確保するための制度だから,手続内の要因,すなわち審理の方法や裁判官の態度などは,それだけでは直ちに忌避の理由となるものではない。そのような不服は,異議・上訴などによるべきである。

    ウ 回避(規13条)
      :裁判官自らの申立により,裁判から排除する制度


2 手続の面
  1)当事者主義訴訟構造
  2)予断排除制度
    ア 起訴状一本主義