捜査

  • ●意義

捜査機関が公訴提起,有罪判決獲得のために行う活動。

捜査機関
司法警察職員(現場)←(指揮)←検察官(会議室)
  • ▲要件

△任意捜査の原則(197条)
△強制処分法定主義(197条但書)
    ↑立法権による抑制
△強制処分令状主義(憲法33,35条)
    ↑司法権による抑制

  • 問題点

・任意捜査と強制処分の境界
    cf.http://www.law.keio.ac.jp/~yasutomi/keiso_semi/ronten/3.html

★「強制処分の意義と任意捜査の要件」最決昭51・3・16
捜査において強制手段を用いることは、法律の根拠規定がある場合に限り許容されるものである。しかしながら、ここにいう強制手段とは、有形力の行使を伴う手段を意味するものではなく、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するものであつて、右の程度に至らない有形力の行使は、任意捜査においても許容される場合があるといわなければならない。ただ、強制手段にあたらない有形力の行使であつても、何らかの法益を侵害し又は侵害するおそれがあるのであるから、状況のいかんを問わず常に許容されるものと解するのは相当でなく、必要性、緊急性なども考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容されるものと解すべきである。

★「覚醒剤の使用嫌疑がある者の6時間以上にわたる留め置きの任意捜査性と,それに連なる強制採尿令状に基づく尿の証拠能力,および採尿場所までの連行の可否」最決平6・9・16
弁護人小野純一郎の上告趣意第一は、判例違反をいうが、所論引用の各判例は事案を異にして本件に適切でなく、同第二は、判例違反をいうが、所論引用の各判例は、所論のように控訴審において訴因変更を許可した後控訴を棄却することは許されないという趣旨まで判示したものではないから、前提を欠き、刑訴法四○五条の上告理由に当たらない。
(中略)
職務質問を開始した当時、被告人には覚せい剤使用の嫌疑があったほか、幻覚の存在や周囲の状況を正しく認識する能力の減退など覚せい剤中毒をうかがわせる異常な言動が見受けられ、かつ、道路が積雪により滑りやすい状態にあったのに、被告人が自動車を発進させるおそれがあったから、前記の被告人運転車両のエンジンキーを取り上げた行為は、警察官職務執行法二条一項に基づく職務質問を行うため停止させる方法として必要かつ相当な行為であるのみならず、道路交通法六七条三項に基づき交通の危険を防止するため採った必要な応急の措置に当たる・・・(中略)・・・被告人の身体に対する捜索差押許可状の執行が開始されるまでの間、警察官が被告人による運転を阻止し、約六時間半以上も被告人を本件現場に留め置いた措置は、当初は前記のとおり適法性を有しており、被告人の覚せい剤使用の嫌疑が濃厚になっていたことを考慮しても、被告人に対する任意同行を求めるための説得行為としてはその限度を超え、被告人の移動の自由を長時問にわたり奪った点において、任意捜査として許容される範囲を逸脱したものとして違法といわざるを得ない。
しかし・・・(中略)・・・その違法の程度は、いまだ令状主義の精神を没却するような重大なものとはいえない。
(中略)
本件の強制採尿令状は、被告人を本件現場に留め置く措置が違法とされるほど長期化する前に収集された疎明資料に基づき発付されたものと認められ、その発付手続に違法があるとはいえない。
身柄を拘束されていない被疑者を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能であると認められる場合には、強制採尿令状の効力として、採尿に適する最寄りの場所まで被疑者を連行することができ、その際、必要最小限度の有形力を行使することができるものと解するのが相当である。けだし、そのように解しないと、強制採尿令状の目的を達することができないだけでなく、このような場合に右令状を発付する裁判官は、連行の当否を含めて審査し、右令状を発付したものとみられるからである。その場合、右令状に、被疑者を採尿に適する最寄りの場所まで連行することを許可する旨を記載することができることはもとより、被疑者の所在場所が特定しているため、そこから最も近い特定の採尿場所を指定して、そこまで連行することを許可する旨を記載することができることも、明らかである。
(中略)
以上検討したところによると、本件強制採尿手続に先行する職務質問及び被告人の本件現場への留め置きという手続には違法があるといわなければならないが、その違法自体は、いまだ重大なものとはいえないし、本件強制採尿手続自体には違法な点はないことからすれば、職務質問開始から強制採尿手続に至る一連の手続を全体としてみた場合に、その手続全体を違法と評価し、これによって得られた証拠を被告人の罪証に供することが、違法捜査抑制の見地から相当でないことも認められない。

    • 要件を満たせば任意捜査として許容されるもの

職務質問⊃所持品検査(最判昭53・6・26)
・自転車の停止(最決昭29・7・15)
・自動車の停止(最決昭53・9・22)
・自動車検問(最決昭55・9・22)
・写真撮影(最大判昭44・12・14)
・動画撮影(東京高判昭63・4・1)
・呼気採取(最判平9・1・30)
盗み聞き(東京高決昭28・7・14)
・おとり捜査(最決平16・7・12)
・泳がせ捜査(cf.麻薬特例法

    • グレイゾーン

・採血
・採尿
・嚥下物採取

    • 強制処分

・逮捕
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・押収
・盗聴
・通信傍受
・強制採尿
    →証拠収集へ