違法収集証拠排除法則

  • ●意義

証拠収集手続に違法があった場合,そこから得られた証拠を訴訟から排除するルール。
供述証拠については憲法38条2項,刑事訴訟法319条1項がある。
  →排除法則は控除的に非供述証拠に対応
直接の根拠条文は,ない。

★「排除法則をはじめて認めた判例最判昭53・9・7百選65
違法に収集された証拠物の証拠能力については,憲法及び刑訴法に規定もおかれていないから,刑訴法の解釈にゆだねられている。刑訴法1条の見地からの検討を要する。それによれば,事案の真相発見が必要だが,違法に収集された証拠であっても,物それ自体の性質・形状に変異をきたすことはないから,手続きの違法を以って直ちに証拠能力を否定するのは相当でない。他面,憲法31・33・35条,刑訴法218条1項の
①令状主義の精神を没却するような重大な違法があり,
②これを証拠として許容することが,将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては,
証拠の証拠能力は基本的人権の保障の見地から否定される。

  • 排除基準

・総合判断説(判例
  ①令状主義の精神を没却するような重大な違法

多くの判例は「違法であるが,重大な違法でない」が決まり文句。認めたのは最判平15・2・14

  ②将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でない
    政策的必要性
      →1度の重大な違法≒数回の普通の違法
      →捜査官の意図がポイントになる


  • 毒樹の果実の理論

:違法収集証拠から得られた証拠にも排除法則(排除効)が及ぶ
毒樹=違法収集証拠
の果実=派生証拠
・判断基準
  ①違法の重大性
    ×
  ②毒樹と果実の関連性