契約法

契約解除

● 意義 契約の有効成立後,一方当事者の意思表示のみによって,契約関係を遡及的に消滅させること(民法3編2章1節3款)。 解除することができる権利が解除権であり,約定解除権と法定解除権がある。 将来に向かって契約関係を解消するのは解約。 当事者双方…

悲喜交々

■ 事例 この冬は例年にない大雪となり,各地で災害が発生した。特に,東北地方のA県のB地方では豪雪被害がひどく,地域のほとんどの家が雪の重さに耐え切れずに倒壊するほどで,この事態はマスメディアを通じて全国に知れ渡っていた。そんなA県のB地方に住む…

担保責任

● 意義 売買契約において,目的物に瑕疵がある場合に,売主が負う無過失責任(民法3編2章3節2款=560条〜578条)。 権利的に瑕疵がある・・・権利瑕疵担保責任(追奪担保責任) 物的に瑕疵がある・・・瑕疵担保責任 宅建業法,住宅品質確保法に特則。 債務不…

危険負担

● 意義 一方の債務が債務者の責に帰すことができない理由によって毀損した場合に,他の債務の存続をどうするかという問題(民法534〜536条)。 ■ 債権者主義(534条1項) :債権者が危険を負担する場合 特定物の設定・移転を目的とする双務契約に適用される …

契約締結上の過失

契約の締結過程において,詐欺や強迫が行われれば,それらは契約の取消原因になる(96条)。が,これらのように故意ではなく,過失があった場合のことを法は定めていない。契約締結上,明らかに過失があった場合,契約はどうなるのか,また,過失とは具体的…

同時履行の抗弁権

● 意義 相手方の債務の履行までは,自分方の債務の履行を拒むことができる契約の効力(民法533条)。 第五百三十三条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済…

賃貸不動産の譲渡

? 設問 Aは自己の所有する甲建物をBに賃貸し、Bは現に甲建物に住んでいたが、Aはこの建物をCに譲渡し、所有権移転登記も行われた。が、Bは甲建物への居住継続を希望している。なお、賃料は相場と同等であり、契約期間には定めがない。 Cが賃貸人の地位の承…

インターネット取引

ネットを使えば今まで手の届かなかった遠くの店の商品を買ったり,個人と取引をしてレアモノをゲットできたりする。が,新たな便利さは,新たなトラブルを発生させる素ともなる。 例 なりすまし取引,オークション詐欺,SPAM,フィッシング,海外接続,Q2接…

不動産賃貸借における貸主・借主・転借人の微妙な関係

土地・建物の賃貸借は,他の賃貸借と比べて高額であり,賃貸人にとっても,賃借人にとっても,大きな取引である。特に,賃借人にとっては,金の問題だけでなく,生活の問題がかかっている。家を借りるという契約をすることは,人生の中でも特に大きな法律行…

特定商取引法

●意義 特定商取引に関して適用のある法律。 ○特定商取引(1条) ・訪問販売 ・通信販売 ・電話勧誘販売 ・連鎖取引販売 ・特定継続的役務提供 ・業務提供誘引販売取引 ¬⊃ネガティブオプション but 規制はある(59条) 訪問販売 ●意義(2条1項) 営業所以外の…

消費者契約法

●意義 消費者契約に適用される一般法(11条)。 労働契約には適用されない(12条)。 ○消費者契約 消費者と事業者との間で締結される契約(2条3項) ○消費者 個人(2条1項) ・努力(3条2項) ○事業者 事業として・事業のために契約の主体となる当事者(2条2…

消費者信用

●意義 物品・サービスの購入者たる消費者に与えられる信用。 販売信用(クレジット(割賦販売法))と,消費者金融(ローン,サラ金)がある。 消費者信用の用いられる取引を消費者信用取引という。 割賦販売 ●意義(2条) 2か月以上3回以上に渡って商品代金…

「振込用紙と受取証書の兼用(消極)」最判平16・2・20

事実 本判決では貸金業規正法43条1項の解釈が問題となった。 Y(被上告人)は貸金業規正法3条の登録業者で,A株式会社はYからX(上告人=A株式会社の代表取締役)を連帯保証人として計400万円を月7パーセントの利息で借り受けた。本件貸付の仕組みは,貸付日…

消費者金融

●意義 消費生活に必要な金銭を,消費者の貸し付ける取引(利息制限法,出資法,貸金業規正法)。 利息の制限 契約自由の原則にかんがみれば,利息を制限する必要もないように思える。が,金を貸す側と借りる側には,立場の強弱に差があるため,そうもいって…

和解

●意義 何らかの争いのある当事者同士が,お互いに譲りあってその争いをやめる契約(695・696条)。 ▲要件 △争いの存在 △互譲(695条) 方法は制限なし ◆効果 ◇新権利の創設(696条) 和解の中身のぶり返しはできない。 和解の前提等(要素)に錯誤があれば,…

寄託

●意義 物を保管する契約(657〜666条)。 ▲要件 <成立> △諾成(+授受。657条) <終了> →寄託者 △返還請求(662条) →受寄者 △返還(663条) 期限前返還は,やむをえないとき(2項)。 ◆効果 →寄託者 ◇寄託物から生じた損害の賠償義務(661条) →受寄者 …

組合

●意義 数人が出資をして,共同の事業を約する契約(667〜688条)。 共同事業性(“利”+“害”関係)が必要 ▲要件 (成立) △出資(667条1項前段) ⊃労務(2項) △組合契約(667条1項後段) 合同契約説も (脱退) △意思表示withやむをえない事由(678条) △死…

委任

●意義 事務処理(=行為≠結果)の委託契約(643〜656条)。 ▲要件 (成立) △諾成(643条) (終了) △解除の意思表示(651条) △死亡or破産or(受任者の)後見開始(653条) ◆効果 →受任者 ◇事務処理義務with善管注意(644条) ◇状況報告義務(645条) ◇引…

消費貸借

●意義 代替物の貸借で,同種・同量・同等の物を返還する契約(587〜592条)。 ▲要件 △諾成(587条) △受け取り(587条) 当該物でなく,間接的なものでよい。 ◆効果 →貸主 ◇例外的担保責任(590条) 利息付(1項),無利息∩悪意(2項)の場合の瑕疵担保責任…

贈与

●意義 無償で財産を与える契約(549〜554条)。 種類 ・(普通の)贈与 ・負担付贈与(551条2項) ・定期贈与(552条) ・死因贈与(554条) ・現実贈与 ▲要件 △諾成(549条) ◆効果 →贈与者 ◇引渡義務 ◇例外的担保責任(551条1項但書) ↑瑕疵を知っていたと…

請負

●意義 仕事の完成とそれに対する報酬を支払う契約(632〜642条)。 ▲要件 △諾成(632条) ◆効果 →請負人 ◇仕事の完成義務(→引渡し) ◇担保責任(1年間の除斥期間(637条1項)。特例→)*1 http://members.at.infoseek.co.jp/barexam/note/ukeoi_tanpo.htm 修…

賃借権

●意義 賃料を支払い,物を使用収益する契約(601条〜622条,借地借家法)。 ▲要件 <成立> →共通 △諾成(601条) 20年の期間制限(604条) →普通借地 △30年以上(借法3条) 定めがなければ30年 30年未満←無効(借法9条) →定期借地 △50年以上(借法22条) △…