物権法

青の火車

■ 事例 東京都内の大学に通うAは,最近の体感治安の悪化や少子高齢化の社会状況に目をつけ,ワンコインタクシー会社を設立しようと考えた。このタクシー会社は,乗車・降車をある一定の地域内に限定する代わりに,どれだけ乗っても料金は500円というもので,…

法定地上権

● 意義 同一の所有者の所有に属する土地と建物が,競売(抵当権の実行)によって所有者が分離するに至ったとき,法律上当然に発生する地上権(民法388条)。 ♪趣旨 ♪競落人(新所有者)保護+国家経済 ∵地上権がない場合に建物を取り壊さなくてもよい。 ∵そ…

抵当権(総則)

● 意義 債務者または物上保証人が,債務の担保に供した不動産および権利につき,その使用収益を認めつつも,債務不履行の場合には,その目的物の価格から優先弁済を受けることを内容とする担保物権(民法2編10章)。 ▲ 要件 △抵当権設定契約 要金銭算定 →後…

物権的請求権

● 意義 ある物に対する所有権に基づき,その物に対する妨害を排除・予防・返還などを請求する権利(民法206条+202条1項)。 ♪趣旨 ♪自力救済によらない物権の回復 種類 ・物権的返還請求権 占有(≠担保権など)の返還請求 ・物権的妨害排除請求権 ・物権的…

先取特権

● 意義 法定の特殊債権を有するものが,債務者の財産から優先的に債権の優先弁済を受けることができる法定担保物権(民法2編8章)。 ♪趣旨 ♪公平の原則 ♪政策的配慮 ♪特殊産業の保護 ♪当事者の意思推測 ■ 種類(2節) 一般先取特権(1款) 総財産が目的にな…

不動産物権変動

● 意義 不動産物権の発生(得)・消滅(喪)・変更のこと。 ○不動産 :土地およびその定着物(86条1項) ▲ 要件 △意思表示(176条) :意思主義(⇔形式主義) →即,物権変動 :物権行為の独自性否定説(⇔物権行為の独自性肯定説) =物権行為が必ず必要であ…

留置権

● 意義 他人の物の占有者が,その物に関して生じた債権を有する場合に,その債権の弁済を受けるまでその物を留置し,弁済を間接的に強制することのできる法定担保物権(民法2編7章=295条〜302条)。 附従性・随伴性・不可分性(296条)がある。 ♪趣旨 ♪取引…

地上権

● 意義 他人の土地を使用する権利(民法2編4章=265条〜269条の2)。 ○推定地上権 ○区分地上権(269条の2) ○法定地上権(388条) ■ 賃借権との相違 地上権 賃借権 登記義務 ○(∵物権) ×(∵債権) 譲渡の承諾 不要 必要(612条) 存続期間 ∞ 20年以下(604…

譲渡担保

● 意義 債権の担保として,物の所有権を移転する契約。 慣習によって公認された非典型担保物権。 ♪趣旨 ♪効力の強化・手続の簡易化 競売手続による必要がない ♪担保物の拡充 登記が不要 抵当権の弱点を克服 →集合動産,ソフトウェア・・・ 占有移転が不要 質…

占有権

●意義 占有訴権によって保護される占有者の地位。 ♪趣旨 ♪事実状態の保護 ↑自力救済禁止の原則の反映 →本権取得機能 取得時効等 →本権公示機能 ▲要件 <取得> △(1)自己のためにする意思(心素,180条) ↑意思ではあるが権原の性質によって客観的に判断さ…

仮登記担保

●意義 仮登記を利用して行う,代物弁済予約と売買予約を総称した担保物権。 根拠法=仮登記担保契約に関する法律 ▲要件 △仮登記担保契約(1条) ①金銭の担保を目的 ②不履行を原因とする所有権移転契約 ③仮登記できる ▲対抗要件 △(所有権移転請求権の)仮登…

共同抵当

●意義 一つの債権の担保として複数の不動産に設定された抵当権(392条,393条)。 ♪趣旨 ♪担保価値の強化 ▲要件 △登記(不動産登記法)≠対抗要件 ◆効果 ◇優先配当 同時配当(392条1項):全ての不動産を同時に競売したとき →不動産価格の割合→(按分)→共同…

転抵当

●意義 抵当権者が抵当権を自己の債務の担保とすること(375条1項前段)。 ▲要件 △抵当権者と転抵当権者の同意 ▲対抗要件 △付記登記(177条) △債務者への通知(or承諾)(376条1項) ◆効果 ◇優先弁済権の移転 原抵当権者は残額部分の弁済を受けうる。 ∴ 原抵…

質権

●意義 債権者がその債権の担保のために,債務者(or物上保証人)が提出した質物を弁済があるまで留置し,もし弁済が得られなければ,その物から優先弁済を得られる権利(民法342条以下)。 約定担保物権。 抵当権は登記可能なものでなければならないが,質権…