質権

  • ●意義

債権者がその債権の担保のために,債務者(or物上保証人)が提出した質物を弁済があるまで留置し,もし弁済が得られなければ,その物から優先弁済を得られる権利(民法342条以下)。
約定担保物権
抵当権は登記可能なものでなければならないが,質権は占有移転可能なものでよいため,範囲が広い。

  • ▲要件

△質権設定契約
△質物の引渡(344条)
   占有改定は認められない。
   代理占有も禁止される(345条)。
      質権者がいったん質権を設定したあとに,設定者に質物を返還しても質権は消滅しない∴質権設定時に占有移転があればよい(大判大5・12・15)。

  • 転質

・承諾転質(350条→298条2項)
    原質権とは独立した存在。
・責任転質(348条)
    原質権の限度で権利を行使できる。
    損失が発生すればその責任を負う。

三者←占有(352条)∴353条*1
設定者←質権

不動産の場合は登記
指名債権の場合は債権譲渡の要件(364条→467条)
記名社債の場合は帳簿への記入(365条)
指図債権の場合は裏書+交付
  • ◆効果

◇留置的効力(347条)
◇物上代位(350条→304条)
◇質権に関する損害の担保(347条)
◇不可分性(350条→296条)
◇果実収受権(350条→296条)
◇保存に必要な範囲での使用権(350条→298条2項)
◇必要費償還請求権(350条→299条)
◇競売代金からの優先回収(342条)
    果実からの回収も可。
    債権の場合は取立権(367条)。

*1:第353条 動産質権者カ質物ノ占有ヲ奪ハレタルトキハ占有回収ノ訴ニ依リテノミ其質物ヲ回復スルコトヲ得