民法総則

あれとこれとは

■ 事例 プロ野球選手であるA(吉田)は,所属する球団との契約更改交渉のため,弁護士であるBに代理人交渉をお願いすることにし,Bと契約を交わし,契約書を作成,さらに別に委任状と「吉田」の印鑑を交付した。ところが,AはBのよくない評判を友人から聞き…

行動派LS生

■ 事案 鹿児島市内の法科大学院で必死に勉強しているXは,期末試験を控えたある日,塩野宏「行政法Ⅱ(新版)」がプレミアムがつくといううわさを聞き,市内の書店に入荷予定の同書をすべて予約購入し,インターネットオークションで転売して一儲けしようと企…

表見代理

● 意義 無権代理行為を相手方の正当な信頼を保護するために有権代理行為として扱う制度。 ・代理権範囲内型(109条) ・越権型(110条) ・消滅後型(112条) ・越権+消滅後型 ♪ 趣旨 ♪取引相手方の正当な信頼保護 ■ 109条 (代理権授与の表示による表見代…

法律行為(総則)

● 意義 法律効果を発生させようとする行為(民法1編5章1節=90〜92条)。 単独行為・合同行為・契約の3種類がある。 ○法律要件 法律効果を発生させるために必要な生活関係 ⊃法律行為 ○法律効果 法律要件により発生する権利義務関係 ○法律行為自由の原則 ≒契…

時効(総則)

●意義 一定の事実状態に対して,真実の事実関係との合致を問わず法的効果を認める制度(民法1編6章)。 取得時効(2節),消滅時効(3節)がある。 ♪趣旨 ♪①事実状態を尊重して法的安定を図る ♪②「権利の上に眠る」者は保護しない ♪③長期経過による権利関係…

「生命保険金請求権の消滅時効の起算点」最判平15・12・11

■事実 AはY(第一生命)との間でX(Aの妻)を保険金受取人とする生命保険契約を締結。その後,平成4年5月17日Aは行方不明になってしまった。それから3年以上が経過した平成8年1月7日,Aは芦ノ湖付近の道路から120メートル下の雑木林で白骨化した遺体となって…

権利能力なき社団

●意義 法人格はないが,社団と同等の実態を有する団体。 概論 民法は公益法人について規定し,商法は営利法人について規定する。では,どちらともつかない法人というのはあるのか。メインはボランティアだけど,ちょっとお金もほしいかなー,という人の期待…

強迫

●意義 害悪を告知し,恐怖心を抱かしめてさせる意思表示(民法96条1項)。 ▲要件 △強迫による意思表示 完全に意思の自由がない場合は意思表示自体当然無効(最判昭33・7・1) →96条適用の余地なし ◆効果 ◇取り消しうる(96条1項)

詐欺

●意義 人を欺いて錯誤に陥らせてさせる意思行為(民法96条)。 ▲要件 △欺罔行為による意思表示(96条1項) cf.◆詐欺取消の抗弁◆ ◆効果 ◇取り消しうる(96条1項) 第三者詐欺規定(96条2項) 善意の第三者には対抗できない(96条3項) ・「第三者」 :詐欺に…

錯誤

●意義 表示意思に対応する効果意思が存在せず,それを表意者自身が知らない状態(民法95条)。 ♪趣旨 ♪表意者の保護 種類 1)動機の錯誤 :「動機」と「効果意思」のリンクが不正 ex.豚肉入りのぶたまんを買おうと思ったが,豚エキスしか入っていない 2)内…

●意義 権利義務の主体たるホモサピエンス(民法3〜32条の2)。 権利能力 ・○意義 :権利義務の主体となる資格 ・始期 ◎原則→出生(3条1項) ×例外↓ =胎児を生まれたものとみなす 1)損害賠償請求(721条) 2)相続(886条) 3)遺贈(965条) ?「みなす」…

通謀虚偽表示

● 意義 相手方と通謀の上に行われた本当ではない意思表示(民法94条)。 ☆相手方のある単独行為にも類推適用がある(判例)。 ♪趣旨 ♪権利外観法理 ▲ 要件 △1:両当事者の通謀 この「通謀」の要件は権利外観法理に基づく94条2項類推適用の場面で多く緩和され…

権利濫用禁止原則

●意義 権利の行使は濫用してはならないという原則(=一般条項)(1条3項)。 概要 そもそもの原始的原則は,「私的自治の原則」から導かれる「権利行使自由の原則」であるが(第1段階),さらに,権利に内在する性質上,害意ある権利行使は許されないという…

信義誠実の原則(信義則)

●意義 ある一定の社会的状況下において,当事者は相手方の信義に従い,誠実に行動すべきであるとする民法の原則(=一般条項)(1条2項)。 概要 “革命”は国家権力が私的関係に介入すべきではないという「私的自治の原則」を確立した(夜警国家)。 私的自治…

任意代理

●意義 授権行為(⊃委任)により,代理人の意思表示が本人に帰属する制度(99〜118条)。 ≠使者∵=単なる伝達者 ≠代表∵=法人(本人)そのもの ≠問屋∵自己の名による意思表示≠顕名 問屋と委託者の関係=単なる委任(最判昭31・10・12) ≠使用人(最判昭30・5…