法律行為(総則)

● 意義

法律効果を発生させようとする行為(民法1編5章1節=90〜92条)。
単独行為・合同行為・契約の3種類がある。
法律要件
   法律効果を発生させるために必要な生活関係
   ⊃法律行為
法律効果
   法律要件により発生する権利義務関係
法律行為自由の原則
   ≒契約自由の原則
   but 限界はある
準法律行為
   明確な法律効果を伴わない法律行為
   ex.催告・事務管理


▲ 要件

社会的妥当性(90条)
   ×判例無効例
      ☆芸娼妓契約(最判昭30・10・7)
      ☆配偶者のある者との婚約(大判大9・5・28)
      ☆債務額の5倍の価値ある不動産による代物弁済予約の実行(最判昭27・11・20)
      ☆弁護士でない者がした委任契約(最判昭38・6・13)

★「90条vs468条1項(賭博の負け分の債権譲渡)」最判平9・11・11百選Ⅱ30
<事実>
Xは,Aに対する賭博の負け分の7000万円の債務保証のため,X所有の土地に極度額8000万円の根抵当権を設定。そして,AはXに対する債権+根抵当権をYに譲渡し,その旨の登記も経由したが,Xは賭博債権がそもそも無効であることを理由に根抵当権の抹消登記を請求。
原審はXの主張を容れ,その上で「当該無効はその原因たる不法の内容や債務者が異議を留めることなく承諾するに至った理由等の諸般の事情を比較衡量して相当でないと認められるときは民法468条1項の事由に含まれない」と判示。Y上告。
<判断>
賭博債権が譲渡された場合,債務者が異議を留めない承諾をしたときでも,信義則違反が債務者にあるなど特段の事情がない限り,債務者は債権の発生に係る契約の公序良俗違反による無効を主張してその履行を拒める。けだし,賭博行為は公序良俗に反するため,賭博債権が満足を受けることを禁止すべきは法の強い要請であり,この要請は,債務者の異議なき承諾による抗弁喪失の制度の基礎にある債権譲受人の利益保護の要請を上回るものと解されるからである。

   ◎判例有効例
      ☆正当な愛情ある不倫相手への包括遺贈(最判昭61・11・20)
      ☆ホステスが客の飲食代金を保証する契約(最判昭61・11・20)
      ☆債権の担保の意味でする所有権の移転がある動産売買(大判大3・11・2)
   →△確定可能性
      よくわからない内容の法律行為には効果を与えられない
         ex.将来債権譲渡
   →△実現可能性
      ∵いざとなったときに強制できない
         ex.不老不死の薬の売買契約
   判断基準時=法律行為がなされたとき(最判平15・4・18)
△有効な意思表示の存在(2節参照)
   =意思能力の存在+意思の欠缺・瑕疵の不存在