信義誠実の原則(信義則)

  • ●意義

ある一定の社会的状況下において,当事者は相手方の信義に従い,誠実に行動すべきであるとする民法の原則(=一般条項)(1条2項)。

  • 概要

“革命”は国家権力が私的関係に介入すべきではないという「私的自治の原則」を確立した(夜警国家)。

私的自治の原則
所有権絶対の原則 ②契約自由の原則 ③過失責任の原則

しかし,この原則に一切を任せてしまうと弱肉強食の苛烈な社会になってしまう。自由は尊重すべきだが,ある程度は弱者の保護を図り,みんなにとって,もう少し生きやすい社会を作るべきである(福祉主義)。したがって,「私権は、公共の福祉に適合しなければならない(民法1条1項)」。これを具体化したのが2項の「信義則」であり,3項の「権利濫用禁止原則」である。
どちらも「一般条項」であり,第一義的に具体的法規範性を有するわけではないが,契約解釈の“基準”となったり,法の欠缺を“補充”したりと,いわば民法の“最後の砦”としての機能を持つ。そして,“最後の砦”であるからには,まず,「個別条項」の適用を検討し,それがかなわない場合,「確かに違法ではないが,それはちょっと(=信義則に反する)」などとして,適用が検討されることとなる。
「人の信頼を裏切ってはいけないという考え方である」(シケタイ)
「人情」(我妻栄

  • 関連場面

・事情変更の原則
  :外的状況(事情)が著しく変わってしまったら,当事者の信頼関係のために,契約内容も改定するのが公平ではないか。
・権利失効の原則
・禁反言の原則
  ≒態度はころころ変えるべきではない
  ∵一度言ったことには,それ(権利外観)に対する他人の信頼が付着する。
・契約締結上の過失
・説明義務
・問い合わせ義務(深川渡)
・受領義務
・弁済額がほんのちょっと足りないだけなのに債務不履行
・無断転貸を理由とする賃貸借契約解除
安全配慮義務
・177条「背信的悪意者」
・実質的蒸し返し訴訟

  • ▲要件

△当事者間になんらかの接触関係があること
  ∵接触関係があるからこそ,その信頼にもとづく行動が要求される。
  なければ→「権利濫用禁止原則」の検討

  • cf.

http://blog.livedoor.jp/kazsin/archives/8974576.html
http://www.d4.dion.ne.jp/~mkad/1G/51q-a.html