時効(総則)
- ●意義
一定の事実状態に対して,真実の事実関係との合致を問わず法的効果を認める制度(民法1編6章)。
取得時効(2節),消滅時効(3節)がある。
- ♪趣旨
♪①事実状態を尊重して法的安定を図る
♪②「権利の上に眠る」者は保護しない
♪③長期経過による権利関係立証困難の救済
- ▲要件
△①一定期間の経過
△②権利者の権利不行使
△③時効を援用する者が真の権利者を権利者として承認しない
△④時効の援用(145条)
あらかじめ放棄できない(146条)
∵権利者が不当に放棄させることを防ぐ
∵時効は公益的な制度
完成後の放棄はできる(反対解釈)
ほかの当事者には及ばない:相対効
・援用権者(当事者)
直接利益を受けるもの(判例)
・具体例*1
・援用権の喪失
★「時効完成後の債務の承認」最大判昭41・4・20百選43
<事実>
XはYから弁済期を昭和24年として7万8千円を借りた。そして,昭和33年・・・
X「借金を元本だけにまけてほしい」
しかし,Yは契約時に得た公正証書で翌年強制執行。これに対してXが請求異議の訴えを提起。理由は商法522条の5年の消滅時効。
<判断>
債務者が時効完成後に債務の承認をした場合,たとえそれが時効完成を知らなかったとしてももはや時効の援用はできない。けだし,これを認めると相手方の「ああ,時効は援用しないんだな」という信頼を裏切ることになり,信義則に反するからである。この判決により,本来の時効利益の放棄である意思表示に加えて,観念の通知による債務承認的行為によっても,時効利益の放棄が認められるようになった。 ?利息に対しても放棄の効果を及ぼしても良いのか ?保証人にもこの判決の射程を及ぼす問題点
- ◆効果
◇権利の取得・消滅
=原始取得
起算日にさかのぼって(144条)
(取得)起算日は勝手にずらせない(最判昭35・7・27)
∵第三者保護@対抗問題
*1:判六373頁百選41・42