あれとこれとは

■ 事例

プロ野球選手であるA(吉田)は,所属する球団との契約更改交渉のため,弁護士であるBに代理人交渉をお願いすることにし,Bと契約を交わし,契約書を作成,さらに別に委任状と「吉田」の印鑑を交付した。ところが,AはBのよくない評判を友人から聞き,Bとの契約を解除しようと思い,Bの事務所に出向いたが,Bは不在・・・だったが,無防備にも事務所の鍵は開いており,扉を開けて事務所に入ると,またまた無防備にもAがBに交付した委任状と「吉田」の印鑑が応接デスクにおいてあった。これにAは怒り心頭,その委任状と「吉田」の印鑑を回収し,「もうB弁護士にお世話になることはありません。吉田」との置き手紙をし,ひとまず自宅に帰って対策を練ることにした。
その頃,Bは交渉のため球団事務所に到着。球団担当Cに委任状を差し出そうとした・・・が,うっかり事務所に置き忘れてきたことに気づいた。このため,Bはやむを得ず,Aとの代理人交渉契約の契約書をCに差し出し,自らがAの代理人であることの主張をし,Cもこれを信じた。そして交渉が行われた結果,Aの年俸は20%ダウンの8000万円で更改され,現状維持を願ったAはさらに憤慨,スポーツ新聞にも「厳冬更改」の見出しが躍った。Aとしては別の代理人を立てて再交渉を願いたいところだが,Cはこれを拒絶している。


■ 問題

ABCの法律関係はどうなるか。