権利能力なき社団

  • ●意義

法人格はないが,社団と同等の実態を有する団体。


  • 概論

民法公益法人について規定し,商法は営利法人について規定する。では,どちらともつかない法人というのはあるのか。メインはボランティアだけど,ちょっとお金もほしいかなー,という人の期待にこたえて制定されたのが中間法人である。この法律が成立する以前は公益・営利どちらともつかない団体は法人格が得られず,やむを得ず法人格なき社団,すなわち権利能力なき社団として活動していた。では,中間法人法は,権利能力なき社団の問題点をすべて解決したんじゃないのか,ということにもなるが設立中の社団や,登記をしていない中間法人などは,やはり権利能力なき社団であり,問題点は解決されていない。法人法定主義(民法33条)が存続する以上,権利能力なき社団の問題も存続する。


  • ▲要件

法人格のある社団と実態的に同視しうるという側面から考えると,
△①団体としての組織がある
△②多数決の原則が行われている
△③メンバーが入れ替わっても団体が独立して存続している
△④団体のアイデンティティーが確立している
ことが要件であると考えられる(最判昭39・10・15)。


  • ◆効果

<@内部関係>
◇社団の実態に応じた法の適用・類推適用
  ∵社団の規定を一律に類推適用するのはデリカシーに反する


<@外部関係>
◇財産関係の帰属

権利能力なき社団は,法人格がないため権利義務の主体足りえないが,では,誰が主体となるのか
総社員である。そして,その性質は総有である。ただし,代表者や管理人に信託が認められる場合,それらのものに信託されていると解することもできる。なお,権利能力なき社団の単独所有と解するには,法人法定主義(33条)に反し,共有と解すると社員の財産と区別することができなくなる。

◇当事者能力の発生
  訴訟,供託