国際紛争の平和的解決

聖戦論・正戦論や無差別戦争観は一次大戦後あたりから徐々に怪しくなり,1928不戦条約が戦争違法観を定立した。さらに国際連盟がそれをおし進め,国際連合はついに武力行使全般を禁止し,国際紛争の平和的解決義務を定めるにいたった(国連憲章2条3項・6章)。

第2条〔原則〕
この機構及びその加盟国は、第1条に掲げる目的を達成するに当っては、次の原則に従って行動しなければならない。
3 すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない。

平和的解決とは話し合い裁判国連外交

国家と国家の紛争。
テロリストグループや企業,個人と国家の場合もある。


■ 話し合い

  • 外交交渉

国際法によるものではないが,国際法がバックボーンとして機能する場面。
基本。

仲介や調停。
ベトナム×アメリカ・・・におけるフランス。

  • 多数国間条約

国連や他の国際組織の誕生により,あまり用いられなくなった。


■ 裁判

  • 仲裁

紛争当事国の仲裁契約に従って行われる。
裁定には法的拘束力がある。

  • ICJ

国際司法裁判所による裁判手続。
公平性・独立性が肝。
強制裁判管轄権はなく,提訴には国家の同意が必要だが,紛争当事国はあまり同意したがらない(ex.竹島問題の韓国)ため,管轄権確保の工夫が必要。
本案審理を回避しようとして述べる抗弁が先決的抗弁。これには統治行為論も含まれる。

死活的利益 竹島問題について韓国が提訴に同意したがらないのは,負けたときのリスクが大きいからだと考えられる。ICJの判断ひとつで国の死活的利益が失われてはたまらない・・・ということで,憲法学上統治行為としてなじまれている問題が,国際法上も形を変えて横たわっている。

裁判規範はいろいろ。
判決の先例拘束性はないが,権威はある。
勧告的意見は意見であるにもかかわらず,結構な力がある。
三権分立における)司法的役割があるわけではないが,実質的にはそのような役割を営んでいる。
判決の実効性は直接にはないが,世論喚起などを通じて多様な形で担保されると考えられる。


■ 国連外交

国連総会・安保理・経社理・人権委員会などによる審議・調査・勧告採択など。
問題の付託(37条)が行われれば,安保理や総会が動く。
事務総長は形式的な権限はそんなにないが,国連の象徴的存在として割と動く。