国家

● 意義

国際法にかかわる受動的・能動的主体。
国家3要素説によれば領土・人民・政府,4要素説によればこれに外交能力を加える。
問題となるのは国連・EUASEAN,台湾,北朝鮮ソマリアなどの国家性。
国際法上は多様な国家性の肯定のためミニマリスト的定義を用いらざるをえないが,国際政治上は他国への配慮により修正定義される(ex.台湾の国家性否定)。


▲ 要件

  • △1:恒久的人民

主権の及ぶ人的範囲。
「人民の,人民による,人民のための」=自決権
   →民族間紛争・人種問題

  • △2:明確な領域

主権の及ぶ地理的範囲。
民事法の適用範囲を決定する学問が国際私法。
刑事法の適用範囲を決定する学問は刑法+国際法
公法(独禁法など)の適用範囲を決定する学問が国際法
   →アメリカがトラブルメーカー。
裁判権もこの範囲に限られる。主権免除。
   →国家の主権的行為のみが免除の対象になる(制限免除主義)。
      ∵私人の取引行為の主権免除は取引安全を害する

  • △3:実効的支配を及ぼす政府

国内法的には内閣,国際法的には国を動かす権力の総体。
ボス=元首。
政府承認
   クーデターなどにより政府が変わったとき,他の国家が新政府を代表政府として認めること。
      ex.「中国」の代表は中華民国政府か中華人民共和国政府か
      →大国による恣意的承認で問題が顕在化。

  • △4:外交能力
  • △5:?正統性
  • △A:国家承認

ある国がある国を国際法上の権利義務の主体として認める一方的行為。
満州国は少数の国の国家承認しかえられず,現在でも台湾やイスラエルは同様の状況にある。そこで,他国の承認があってはじめて権利義務が創設されるのか(創造的効果説),それとも承認は単なる確認に過ぎないのか(宣言的効果説)が問題。