構成要件的故意

  • ●意義

構成要件の主観的要素。
認識的要素と意思的要素からなる。
   @客観的構成要件要素
   @規範的構成要件要素
      一般人基準の意味認識
○確定的故意
○不確定的故意
   ・概括的故意
   ・択一的故意
   ・未必の故意
   ・条件付故意
ウェーバーの概括的故意
   :全過程に対する故意
○ヘルマンの概括的故意
   :未必の択一的故意


  • 具体的事実の錯誤

構成要件内の具体的な事実につき,錯誤があった場合。
故意に欠けるところはない→故意は阻却しない(法定的符合説)。


・客体の錯誤
   ex.人まちがい殺人


方法の錯誤
   ex.狙い違い殺人

併発事例における故意の個数如何
そもそも法定的符合説内においては,故意は抽象化されるため,具体的な被害数に対応して故意の数が変動するということすら考えられない。また,故意が1つしかないのに,複数の故意を認めることは責任主義に反する。したがって,併発事例においては発生したもっとも重い犯罪事実に対する1つの故意の成立を認めればよい。

★「突き抜ける快感」最判昭53・7・28百選Ⅰ39
<事実>
被告人は警官から銃を奪い取ろうとして,改造びょう打銃を発射。が,発射したびょうは警官を突き抜け,通行人に命中。検察官は,両名に対する強盗殺人未遂罪の観念的競合として起訴。
<判断>
犯罪の故意には,具体的な符合は必要ではなく,法定の範囲内において符合があれば足りる。
被告人は,警官に対する殺人の意図があるから,これに対して殺人未遂罪が成立し,同時に,これと因果関係のある通行人に対する傷害にも殺人未遂罪が成立する。


・因果関係の錯誤
   ・典型的な因果関係の錯誤
      1つの行為内で・・・
   ・ウェーバーの概括的故意と錯誤
      1つ目の行為のつもりが,2つ目の行為
      →「早すぎた構成要件の実現」でも妥当


  • 抽象的事実の錯誤

異なった構成要件間で,錯誤があった場合(38条2項)。
同質的重なり合う構成要件間の限度においては,故意が認められる(法定的符合説)。
   「重なり合う」=保護法益・犯罪態様の実質的重畳性