連帯債務
- ●意義
複数の債務者がそれぞれ独立に債権者に対して同一内容の給付義務を負うが,そのうち1人が弁済すれば,他の債務者も債務を免れるという多数当事者の債務関係(432〜445条)。
- 概要
・不可分債務との違い
不可分債務→給付が性質上不可分
∴当然に各人が債務を全部給付する義務を負う
連帯債務→給付が可分
であるのに債務者各人が債務を全部給付する義務を負う
・不真正連帯債務との違い
不真正連帯債務→主観的共同関係がない(偶然的競合)
∴完全弁済を除いて,他の債務者に影響を及ぼさない
連帯債務→主観的共同関係がある
∴債務者の1人に生じた事由が,他の債務者にも影響を及ぼす(絶対的効力事由)
・連帯保証との違い
連帯保証→保証の一種
∴主たる債務者に対する附従性がある
連帯債務→独自の債務を負っている
∴附従性はない
- ♪趣旨
♪債権の効力強化
- ▲要件
<成立>
△意思表示
諾成ではないのは,遺言もありうるから
△法律の規定
民法にはあまりない
商法にはよくある
- ◆効果
<@債権者(対外的効力)>
◇履行の請求(432条)
同時も可
順序不問
一部請求可
全部請求可
◇債務者破産の場合の配当加入(441条)
<連帯債務者の1人について生じた事由の効力>
◇絶対的効力(434〜439条)
・履行の請求
結果,他の連帯債務者も遅滞に陥うる
・更改
・相殺
他の連帯債務者の援用(436条2項)
援用の権限がある(通説・判例)
抗弁権を与えただけ(有力説)
・免除
437条を文理解釈すれば債権者の意図しない結果に
→しかし判例は文理解釈
結局は意思解釈によるしかない
・混同
・時効完成
・弁済⊃代物弁済
条文はないが,当然と解される
◇相対的効力(440条)
絶対的効力以外のもの
<@内部関係>
◇求償権(442条)
内部的には「他人の弁済」
∴不当利得返還請求権の一種と見うる
「共同の免責」を受けることが必要
↑必ずしも負担部分を越える弁済をする必要はない
∵責任の平等分担
事前・事後の通知が必要
∵(事前)独自抗弁あるかも・(事後)二重払い回避
通知をしない場合の求償制限(443条)
・事前通知を怠った
求償拒否
相殺適状にあった債権を以って求償権と相殺
・事後通知を怠った
他の連帯債務者が二重払いをしてしまった場合
→その支払い(第2弁済)“が”有効になる(2項)
↑その支払い(第2弁済)の通知は必要(原則)
無資力者がいれば,他の連帯債務者が負担(444条)
連帯の相対的免除(連帯からの解消)を得た場合も同様(445条)
連帯の絶対的免除(連帯そのものの解消)の場合はなし