扶養

1人では生きていけない者がいるとき,誰かがそれを助けるべきだろう。けど,法的に強制するには法的な根拠が必要である。民法は,このために扶養の義務と扶養の権利を定めた(民法4編7章=877条〜881条)。
扶養可能状態+要扶養状態=扶養義務の発生


生活保持義務
   :互いの生活を同等なものとして保持しあう義務
   最後に残された肉の一片まで分け与える義務
生活扶助義務
   :余力ある限り要扶養者を扶助する義務(877条)
   最後に残された肉の一片は食べて良い義務

肉のおかず (牛肉・ひき肉) (Orange page books―Cook book)

肉のおかず (牛肉・ひき肉) (Orange page books―Cook book)


○私的扶助
○公的扶助
   補足性が必要(生活保護法4条1項2項)


■ 扶養義務者

□夫婦の場合
   752条・760条
□子に対する扶養義務
   明文の規定はない
   ⊂婚姻費用?
   ⊂877条1項?
   親権の帰属とは別
      →非親権者でも扶養義務がありえる(大阪高決昭37・1・31)
   内縁の場合は民法上の扶養義務はなし(東京高決昭53・5・30)
□直系血族・兄弟姉妹
   相互扶養義務(877条1項)
□順位
   規定無し
   話し合いで決めるが,まとまらなければ調停・審判
      それでもまとまらなければ家裁が決める(879条)


■ 扶養の内容

□給付扶養
   金が基本
   モノでもよし
□引取扶養
   「おれを引き取れ」
   強制はできない

  • 過去の扶養料

性質的には考えられない。
が,まったく不要とすると扶養しないもの勝ちになってしまう。
∴認められる。


・起算点
   請求時点 ←ここから遅滞に陥る
・立替扶養料の求償
   扶養義務者の場合は可能(最判昭42・2・17)
   扶養義務者じゃない場合は不可能(神戸地判昭56・4・28)