不当利得
- ●意義
法律上正当な原因がないにもかかわらず,他人の財産・労務から利得を受け,これによってその他人に損害を及ぼした場合の利得(民法3編4章)。
- ♪趣旨
♪形式的正常性と実質的異常性の矛盾調整
正義&公平
- ▲要件
△①他人の財産・労務による受益
⊃積極的利得
⊃消極的利得
△②損失発生
⊃うべかりし利益の喪失
△③因果関係
=不当利得の要件としての因果関係<条件関係
=社会観念上の因果関係>直接の因果関係
△④法律上の原因がない
=形式的な財産移転に実質的な正当性がない@公平の見地
・転用物訴権
- ?転用物訴権とは
- たとえば,契約関係にあるAとBにおいてなされた給付が,第三者であるCの利得となった場合に,AやBがその(転用物に関する)利得を不当利得として追求することができる権利。
★「形式的当事者,実質的当事者」最判平7・9・19百選Ⅱ70
<事実>
Y(被告)はMに対して自己所有のビルを賃貸していた。本来,このような賃貸には権利金が払われるべきものだが,Yは権利金を受け取らない代わりに,Mにビルの修繕費等を自己負担とすることで合意。そのMはビルの改装工事をX(原告)に請け負わせたが,工事代金の支払いをし終わらないうちに,失踪。XがYに対して不当利得を根拠に残余代金を請求した。
<判断>
このような場合に,Yが利得を受けたということができるのは,賃貸借契約を全体としてみて,Yが対価関係無しに利益を受けたときに限られる。Yが,賃貸借契約において,利益に対応する出捐等をしたときは,利得は,法律上の原因に基づくものであるから,XがYに対して不当利得の返還請求をできるとするのは,Yに二重の負担を強いる結果となる。
- ◆効果
<善意の受益者>
◇現存利益の返還(703条)
現存推定(大判明39・10・11)
<悪意の受益者>
◇受けた利益+利息の返還(+損害賠償)(704条)