事務管理

  • ●意義

他人のために,義務がないのにその事務を管理すること(民法3編3章)。
準法律行為≠法律行為
   ∵事務管理者の意思に,法律上の効果が対応していない
      =効果は単に結果として与えられるにすぎない

  • ♪趣旨

相互扶助社会の構築


  • ▲要件

△①他人の事務を管理すること
   ・他人
      ⊃自分兼他人(要ためにする意思)
   ・事務
      :人の生活に必要な一切の仕事
      ⊃人命救助(698条参照)
   ・管理
      ⊃保存行為
      ⊃処分行為


△②他人のためにする意思がある(697条1項)
   ⊃自分兼他人のため


△③法律上の義務がない
   義務があればそっちで処理


△④本人の意思・利益に適合する
   ・意思
      要適法性

?本人の意思が不明な場合はどうなるか
客観的に推知しうる「本人の意思」を,本人の意思とみなすほかないであろう。
  • ◆効果

<管理者>
◇違法性阻却
   心臓マッサージのために肋骨を折る←OK
◇管理義務
   管理通知義務(699条)
   管理継続義務(700条)


<本人>
◇費用償還義務(702条1項)
   管理者が支出した(支出時点の)有益な費用
      >有益費=価値の増加に必要な費用
   ⊃損害賠償請求権?
   ⊃報酬請求権?
◇法律効果の帰属

?はどうなる
この点,仮に,事務管理者がした行為が問答無用に本人に帰属することになれば,私的自治の原則を害し,本人の利益を著しく損なうことになる。法律効果は,あくまで事務管理者に帰属するのであって,あとは内部関係が問題になるにすぎない。

●意義
   他人の事務であると知りつつ,本人が自ら本人のために管理した場合にも費用償還を認める考え


♪趣旨
   利得残存の回避