実行行為

  • ●意義

特定の構成要件に該当する,法益侵害の現実的危険性を有する行為。


  • 不作為犯

●意義
   1) ○真正不作為犯
   2) ○不真正不作為犯


▲要件@不真正不作為犯
   1) △作為義務の存在
      =法的な作為義務の存在→保障人的地位にあること
   2) △作為の容易性・可能性
      作為可能性なし=実行行為性なし
   3) △作為と不作為の構成要件的同価値性


  • 間接正犯

●意義
   :他人を道具として利用し,実行行為を行うこと


▲要件
   1) △他人を利用し,自己の犯罪を行おうとする意思の存在(主観的要件)
   2) △被利用者を道具の如く利用し,構成要件的行為を行ったこと(客観的要件)

★「エンド・オブ・ザ・ワールド」最決昭和58・9・21百選Ⅰ72
<事実>
いろいろあって3度目の結婚もうまくいかず,実子にも死なれてしまった被告人は,12歳の養子Aをつれて四国88ヶ所札所霊場巡りのたびに出かけた。が,途中で金がなくなったためAを利用して窃盗をしようと計画,Aに顔面にタバコの火を押し付けたり,ドライバーで顔をこすったりして,13回,計79万円を窃取させた。上告趣意は「Aだって悪いことはわかっていたから,教唆にはなっても正犯ではない」。
<判断>
被告人はAを畏怖させ意思を抑圧し,Aを利用して窃盗を行ったのだから,間接正犯が成立する。
<整理>
教唆=正犯(61条1項)。意思の抑圧の程度がポイント。