婚姻外関係

民法は形式的に婚姻届を提出した男女の関係のみを保護しているが,婚姻届を出さない男女であっても,実質的に保護する必要のある場合もある。婚姻届を出さない男女の形態はいろいろあるが,代表的なのは婚約と内縁である。


■ 婚約

  • 意義

:将来夫婦になることを約束する当事者間の合意
=婚姻予約≠契約
   結婚の強制はできない

  • 効果

◇婚姻へ向けた誠実努力義務

  • ■ 不当破棄

□損害賠償
   415or709
   判例債務不履行最判昭38・12・20)

★「結納金返還請求」東京高判昭57・4・27百選24
<事実>
X男はY女との婚約の際,結納金50万+結納品を渡したが,いろいろあって婚約解消。そこで,Yは結納品だけはXに返還したが,Xは結納金50万も返せと主張。
<判断>
婚約解消の責任はXにあるのだから,信義則上結納金の返還請求は許されない。
<整理>
結納=?=贈与(最判昭39・9・4)。したがって,婚姻が行われれば(目的が達成されれば)返還請求できない。

内縁

  • 意義

○戦前の内縁
   :届出婚主義の不浸透,慣習重視によるもの
○現在の内縁
   :いろいろな事情から,あえて婚姻届を出さない
   =事実婚

  • 効果

◇婚姻と準ずる関係(準婚理論)を認める・・・婚姻規定の類推適用
   財産分与規定の類推適用(判例・通説)
   相続は認められないが,特別縁故者(958条の3)として財産分与請求できる
   死亡解消時の財産分与(768条)はだめ(最判平12・3・10)
   ・持ち家
      真正相続人の立ち退き請求は権利濫用の場合も(最判昭39・10・23)
      持分推認(最判平10・2・26)
   ・借家
      @相続人なし
         借地借家法36条
      @相続人あり
         相続人に行くが・・・権利濫用の場合もあり(最判昭42・2・21)
   ・不当破棄
      伝統的な債務不履行構成+不法行為構成(最判昭33・4・11)
         嫁いじめ(最判昭38・2・1)