離婚
● 意義
婚姻関係の消滅(民法4編2章4節=763〜771条)。
- 種類
・協議離婚(1款)
:話し合いによる離婚(763条)
実質的意思は必要ではない⇔婚姻(最判昭38・11・28)
∵婚姻解消の実質=?
離婚意思は届出時に必要(最判昭34・8・7)
無効な離婚の追認・・・OK(最判昭42・12・8)
戸籍実務における離婚届不受理制度 ←夫婦喧嘩に対応
・調停離婚
成立=確定判決と同じ効力(家事審判法21条1項)
・審判離婚
:合意不成立∩離婚相当 な場合に,裁判所が職権でする審判(家事審判法24条)
拘束力が弱いため,ほとんど利用されていない
・裁判離婚(2款)
:裁判による離婚
調停不成立等の場合に限る
=調停前置主義(家事審判法18条)
・具体的事由(770条1項1〜4号)
↑2項=破綻主義(⇔有責主義)=裁量棄却の明示
↓独立した離婚原因(判例)
→それぞれが別々の訴訟物(最判昭36・4・25)
・不貞
- ?同性への浮気は不貞となるのか
- ここで不貞を考える前に,貞操を考える必要がある。貞操とは,性的な清潔を守ることをいうが,この性的な清潔とは,配偶者以外の者への性的交渉等をしないことを意味する。配偶者以外の者であれば,異性であろうと,同性であろうと,問題は同一である。したがって,同性への浮気は不貞となりうる。
・悪意の遺棄
・生死不明3年以上
7年以上なら失踪宣言→死亡解消も
・強度+回復の見込みのない精神病
裁量棄却事例が多い
・抽象的事由(5号)
総合考慮
ex.性格不一致・性的倒錯等
離婚と社会 本号において,2項の適用は排除されている。このため,婚姻生活が破綻さえしていれば,裁判所は請求を棄却することができなそうである。でも,夫婦の仲が悪くても,子どもにとっては一緒に暮らしたほうがいいこともありうる。この点,判例は有責配偶者からの離婚請求を「不道徳勝手気儘」であり,相手方は「踏んだりけったり」であるとして認めてこなかった。確かにこの判例は,「夫婦と法」を考察する場合には適当な視点によりなされた判断であろう。が,子どもの事情なり,世間の事情なりを考慮したものとはいえない。そこで,判例変更により,有責配偶者からの離婚請求も認容されることとなった。要件は, ①△別居期間が年齢等に比して相当長期なこと ②△未成熟子がいないこと ③△相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に過酷な状況におかれないこと である。
★「踏んだり蹴ったりなんていわせない」最大判昭62・9・2百選15
<事実>
XとYは昭和12年に結婚。が,昭和24年,Xの浮気により不仲になり,別居。それから40年近く別居状態にあったが,その折,Xが離婚裁判である本訴を提起。尚,これ以前の離婚調停は不調に終わったが,その際に,XはYに対し,財産上の給付を申し出ている。
<判断>
5号所定の事由による離婚請求が有責配偶者からされた場合,その請求が信義誠実の原則に照らして許されるかどうかを判断するにあたっては,別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間で,未成熟子が存在せず,相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれるなど,離婚請求を認容すること著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められない限り,有責配偶者からの離婚請求は,それだけを理由に許されないとすることはできない。けだし,このような場合には精神的・社会的な状態は重視されないし,経済的不利益は財産分与・慰謝料で解決されるべきだからである。
踏んだり蹴ったり判決等は変更する。
◆ 効果
◇姻族関係の消滅(728条1項)
◇復氏(767条1項)
◇財産分与請求権(768条1項)
1) 清算
2) 扶養
3) 慰謝料
★「財産分与(慰謝料込)」最判昭46・7・23百選19
<事実>
婚姻中のXとYは裁判により離婚。その際,財産(衣料タンス+食器タンス)分与がなされたが,その後,Xに虐待による慰謝料請求訴訟である本訴を提訴。争点は財産分与に,慰謝料が入っているかどうか。
<判断>
財産分与請求権と慰謝料請求権は,性質が違う。もっとも,財産分与を決定する際に,裁判所は,当事者双方の一切の事情を考慮すべきであり,その結果として,財産分与の額に,慰謝料分を含めることはできる。そして,財産分与がされた後に,慰謝料請求がされた場合は,財産分与が慰謝料を含めてなされているかを斟酌しなければならない。斟酌の結果,含めてなされていない,もしくは,含めてなされているとしても,額・方法において慰謝するには足りないと認められるときは,慰謝料請求権は消滅しない。
◇親権者(819条1項)・監護者決定
親権者の定めがなければ離婚届は受理されない(765条1項)
単独親権の原則
・面接交渉権
親の権利? 子の権利? 親の義務?
★「婚姻破綻・別居中の面接交渉権」最判平12・5・1
<判断>
父母の婚姻中は,父母が共同して親権を行う権利・義務がある。これは婚姻が破綻し,別居中の場合でも変わらない。そして,別居状態にある父母の間で面接交渉について狭義が整わないときは,民法766条を類推適用して,家事審判法9条1項乙類4号により,面接交渉について相当な処分を命ずることができる。
・養育費
基本的には話し合いだが,不調なら家裁が決める(766条1項)