新株発行

  • ●意義

通常の新株発行
  :外部資金調達のための有償増資
  ア 株主割当
  イ 第三者割当
  ウ 公募
特殊の新株発行
  :通常の新株発行以外の新株発行
  ex.株式分割
cf.http://www.nomura.co.jp/terms/sa-gyo/sinkabuhakko.html


  • 概要

新株の発行は取締役会により決定される(商法280条ノ2)。機動的な資金確保のためには,いちいち株主総会にお伺いを立てているわけには行かない。その面で,商法は授権資本制度を採用している(166条3項6項)こともあり,新株発行は会社にとって業務執行行為であるといえる。が,既存株主にとっては,所有する株式の価値が相対的に減少するため,際限なく新株の発行がされるのも問題である(組織法上の影響)。そこで,これらの利益をうまく両立させるための方策が必要となる。
まず,新株の発行が取締役会により決定されることが法により原則とされている(280条ノ2第1項柱)ことから,新株の発行は資金調達のために機動的になすことが,既存株主利益の尊重よりもどちらかといえば重視されていると考える。ただし,それは①授権資本の範囲内でなされなければならず,また,その②目的も資金調達のものであることを要する(主要目的ルール)。①に反すれば定款違反であり,②に反すれば「著しく不公正な方法」であるから,これらは新株発行差止事由となる(280条ノ10)。そして,本来的な第三者有利発行の場合,それは株主総会の特別決議を要する(280条ノ2第2項)。こうすることにより,既存株主が株式価値の減少を甘受してまでも意義ある発行なのかを判断することができる。

資金調達の必要が株主の支配的利益をも凌ぐ,という価値判断が働いているかは法からは定かではない。が,少なくとも新株の「発行」には差止という事後の抑制が可能であるのに対し,新株の「不発行」には取り返しのきかない“競争の敗退”が待っている可能性はある。
→とりあえずやっとけ