遺言
- ●意義
遺言者の死後の法律関係を定めるために,一定の方式によりなされる一方的かつ単独の人生最後の意思表示(民法5編7章=960〜1027条)。
- 概要
遺言は死後においても意思表示を認める法技術である。このため,他人によって改ざん等がなされても,遺言者はその対応ができない。そこで,民法は遺言を厳格な要式行為とし,この方式に反する遺言は無効とする(960条。ただし,971条)。また,その趣旨は個人の意思の尊重であるため,遺言自由の原則のもと,15歳であれば遺言能力が認められ(961条),生きている間であればいつでもその撤回ができる(5節)。
- ▲要件(方式)
・普通の方式(2節1款・967〜975条)
1)自筆証書遺言(968条)
:自書と押印による遺言
↑ワープロはだめ
多少の瑕疵はOKだが,日付は重要
∵複数の遺言があった場合の先後の判断
2)公正証書遺言(969条)
方式;本条各号
3)秘密証書遺言
方式;970条1項各号
無効な秘密証書遺言の転換(971条)
遺言はデリケートな行為であるため,さまざまな場面で証人・立会人の出番がある。証人とは「遺言が真意かどうか」という遺言の内観を証明する者であり,立会人とは「遺言書が現に作成されたか」という遺言の外観を証明する者である。これらのものが遺言者の利害関係人であったり,未熟な者であった場合に紛争が生じうるのを防止するため,民法は欠格事由を設けている(974条)。
・特別の方式(2節2款・976〜984条)
- ◆効力(3節)
◇発生時期
=死亡時(985条1項)
◇遺贈
→条文
- 執行(4節)
遺言書の保管者が,家庭裁判所に検認(≠確認)を請求する(1004条1項)。そこでなければ開封できない(3項)。違反には過料がある(1005条)。以下,条文。