領域

● 意義

国家主権が排他的・包括的に実現される場所的範囲。
領域取得の権原は,発見・先占・割譲・併合・征服・時効・添付(様式的権原論)。
現実的には,国際法は領域の決定根拠にはならず,行為規範になるにすぎない(外交交渉による解決がメイン)。


■ 海


海は広くて大きいため,17世紀初頭は公海自由論が主流だったが,軍事・経済活動などの膨張により海は狭く感じられるようになり,新たな海洋法秩序が必要とされるようになった。そこで創設されたのが国連海洋法条約(「海の憲法」)。

国連海洋法条約

http://www.geocities.co.jp/WallStreet/7009/m0008330.htm

  • 領海

国家の主権が及ぶ沿岸水域。一応基線から12海里まで(3条)。
制約として船舶の無害通航権。ただし,軍艦の通行は問題。
接続水域は出入国管理や通関上の取締・処罰ができる水域。

  • 公海

どの国も領域主権を主張できず(89条),自由に利用できる(87条)海。
旗国主義が原則だが,途上国の便宜置籍船や海賊対策のため追跡権などが例外的に認められる。

・大陸棚
   大雑把には領海の外側にあるなだらかな大陸斜面。
   正確には76条。
   主権的権利が行使でき,天然資源の開発などができる(77条)。
排他的経済水域
   領海基線から200海里以内で,沿岸国が宣言により設定する水域(55条)。
   公海でも領海でもない第三の法的地位。

  • 深海


公海下部の海底。深くて暗い。
人類の共同遺産(136条)のため,国際社会が共同開発しようとしたが,儲けにならないことが判明したため頓挫状態。


■ 空


20世紀初頭まで,人間は空を飛ぶことができなかったため領空概念が存在しなかったが,一次大戦後の1919パリ条約が領域上空への排他的主権を規定。
この排他的主権のため,領域国は領空侵犯の外国機を撃ち落すことができるが,比例原則を守る必要もある。
国際航空活動は主に二国間条約によってなされていたが,最近はオープンスカイ政策が主流。
ハイジャック対策にハーグ条約モントリオール条約。

■ 宇宙


人類の宇宙進出は法的規制を必要とした。
嚆矢は宇宙原則宣言と宇宙条約,補完・具体化するのが宇宙救助返還協定・宇宙損害賠償責任条約・宇宙物体登録条約・月協定。
宇宙空間への大量破壊兵器設置は禁止されるがICBMは禁止されない。
月その他天体については大量破壊兵器の設置が禁止される。平和利用のみ(宇宙条約4条)。


■ 国際地域

  • 国際運河

スエズ運河map:スエズ運河スエズ運河条約),パナマ運河パナマ運河条約)などはすべての国の船舶に航行を開放している。

  • 南極&北極

南極は大陸の存在がゆえに南極条約により平和利用が義務付けられるが,北極は一応海のため海洋法が規律するにすぎない。

  • 植民地体制

ある人間集団を列強諸国が支配した体制の総称。
租借地委任統治領などいろいろな形態があったが,国連の植民地独立付与宣言により徐々に解消。

  • 国際的暫定統治区域

カンボジア東ティモールなど。