偽証罪
- ●意義
法律により宣誓した証人が,虚偽の陳述をする罪(169〜171条)。
- ♪法益
♪審判作用の適正運用
@刑事裁判+民事裁判
- ▲要件
△(1)宣誓した証人(主体)
∴真正身分犯
△(2)虚偽の陳述をすること(行為)
・「虚偽」
- ?虚偽とはどういう意味か
- 証人自身の記憶に反するという意味である。審判作用における証人の役割は,自己の体験した事実をありのままに述べることであり,それ以上の役割は期待しえない。仮に客観的にその内容に信憑性がないとしても,その認定をするのは裁判所の役割であり,証人に客観的真実性を要求するのは,かえって現実から乖離した証言を生む可能性があり,そのために審判作用を害するおそれがある。
・「陳述」
- ?黙秘も陳述になるか
- 黙秘が審判作用を誤らせる可能性がある場合には,なるといえる。ただ,全部黙秘をした場合,その可能性はないため,全部黙秘は陳述にはならない。
- 共犯
刑事被告人は刑訴法上証人になることはないため,偽証罪で処罰されることはない。だが,証人に対し教唆をし,偽証させることは考えられる。
- ?このような場合,教唆犯は成立するか
- 成立する。証人を介してであるとしても,偽証は裁判所の審判作用を積極的に害しようとするものであり,もはや被告人の防御権の範囲を超えている。