横領罪

●意義

○委託物横領罪
   :他人から占有の委託を命ぜられている物を不法に領得する罪。
   ⊃単純横領(刑法252条)
   ⊃業務上横領(253条)
○遺失物横領罪
   :占有を離れた他人の物を不法に領得する罪(254条)。

♡所有者の所有権等
♡委託者の信任→委託物横領


▲構成要件

△自己の占有
   =物の把持のみではなく,事実上,法律上の支配の汎称(大判大4・4・9)
   ≠所有→背任


△他人の物
   ・金銭の刑法的修正
      民法→金銭の占有者=金銭の所有者
      刑法→金銭の占有者≠金銭の所有者

最判昭26・5・25百選Ⅱ57
<判断>
使途が限定されて寄託された金銭は,受託者はその金銭について刑法252条の「他人の物」を占有する者と解すべき・・・

   ・売買の目的物
      割賦販売法7条
      譲渡担保


△信任委託
   明文はないが,本質的なもの
   事実上の関係でよし


△不法領得意思
   あとで返す意思があっても


△不法領得行為
   不法領得意思の現出
   ⊃売買・贈与・費消・着服・隠匿・質入・抵当権設定


?問題点

  • ?不法原因給付にも横領罪の適用はあるか
  • ?横領後の横領

★「横領後の横領」最大判平15・4・23重判刑法5
<事実>
宗教法人S寺の役員Xは父親と共謀し,宗教法人法の許可を得ずS寺の土地に抵当権を設定(先行行為),さらにこの抵当権を抹消した上で土地を売却した(後行行為)。
<判断>
後の横領行為たる売却行為は,先の抵当権設定行為によって成立を妨げられるものではない。