構成要件
- ●意義
処罰に値する違法・有責な行為の類型。
○基本的構成要件
↑↓
○修正された構成要件
:未遂,共犯
○閉じられた構成要件
↑↓
○開かれた構成要件
:適用にあたって裁判官の補充が予定されているもの
○記述的構成要件要素
↑↓
○規範的構成要件要素
:要価値判断
ex.わいせつって?
- ♪趣旨
1♪違法・責任推定機能
2♪罪刑法定主義機能
- 客観的構成要件要素
1 行為
:構成要件的行為≠社会的事実としての行為
=作為+不作為
2 行為の主体
1)身分
ア 真正身分犯
イ 不真正身分犯
2)法人
★「両罰規定と法人の過失」最判昭40・3・26百選3
<事実>
外為法違反で被告人(伊藤忠)有罪。上告趣意は「外為法73条の両罰規定の過失の推定は責任主義に反する。また,無過失の立証があれば責任が免れうるとするが,無過失の立証自体事実上不可能で,憲法31条に違反する」。
<判断>
事業主が人であろうと法人であろうと,両罰規定は選任・監督の過失を推定する(のであって,故意・過失のない事業主に刑責を負わせるものではない)。
<整理>
法人が事業主でも,としたのが本判例。法人の犯罪能力は,当然肯定している。両罰規定≠代罰規定。
疑わしきは被告人の利益に ←は憲法31条等から導かれる当然の原則である。民事訴訟において,疑わしき(ノンリケット=真偽不明)は証明責任にのっとって解決されるが,刑事訴訟では被告人の利益になる。したがって,疑わしきを処理する法技術である「法律上の推定」は民事訴訟では頻出だが,刑事訴訟では出番が少ない。しかし,数少ない出番のうちのひとつが,この両罰規定の過失推定である。
3 行為の客体
4 行為の結果
5 因果関係
6 行為の状況
- 主観的構成要件要素
1 一般的主観的要素
=故意・過失
2 特殊的主観的要素
1)目的@目的犯
2)傾向@傾向犯
=心情
相続人
● 意義
被相続人の財産上の地位を包括的に承継する者(民法5編2章=886〜895条)。
相続は被相続人の死亡により(882条),被相続人の住所地で(883条)開始する。
- 種類・順位
前提:胎児は,相続についてはすでに生まれたものとみなす(886条1項)
被相続人の子が,相続人となる(887条1項)
数人いれば同順位(900条4号)
非嫡出子は半分(900条4号但書)
⊃養子
⊃代襲相続人(887条2項3項)
いなければ,直系尊属(889条1項1号)
いなければ,兄弟姉妹(889条1項2号)
⊃代襲相続人(889条2項)
相続資格の重複 たとえば,自分の孫を養子にすることがある。この場合,新たに養子となった者は,孫としての地位と,養子としての地位を,被相続人との関係で二重に取得することになる。この場合,この者は二重の資格を合算した相続分を主張しうるかが問題となる。別に民法は禁止していない,実孫と養子の地位は両立しうる,などの理由から肯定説が有力だが,一方の地位と一方の地位のつじつまが合わなくなることが考えられるとして,否定する考えも有力である。
被相続人の配偶者は,常に第一順位の相続人となる(890条)
¬⊃内縁配偶者
■ 代襲相続
- ● 意義
被相続人の死亡→(相続)→被代襲者(子=相続人。相続開始以前(≠前)に死亡済)→(代襲相続)→代襲者(孫=相続人の相続人)
- ♪ 趣旨
♪期待利益の保護
早死にしたばっかりに,もらえないなんて・・・
- ▲ 要件
△代襲者の身分(887条2項3項・889条2項)
=被相続人の子の子+被相続人の兄弟姉妹の子
兄弟姉妹の再代襲はだめ(889条2項→887条2項但書)
△被代襲者が相続放棄をしていない(939条)
- ◆ 効果
◇代襲者が被代襲者の相続順位になる
■ 相続欠落
- ● 意義
:相続に関して不正を働いた者から,相続人資格を剥奪する制度(891条)
♪趣旨=民事上の制裁(最判昭56・4・3)
- ■ 欠落事由
①故意に被相続人または先順位もしくは同順位の相続人を殺しまたは殺そうとして,刑に処せられた者(1号)
殺人の故意が必要
殺そうとして⊃予備・未遂
刑に処せられた=有罪判決¬⊃執行猶予期間徒過
②被相続人が殺害されたことを知っていながら告訴・告発をしなかった者(2号)
③詐欺・強迫によって被相続人の相続に関する遺言の作成・取消・変更を妨げた者(3号)
=遺言行為をさせなかった
詐欺・強迫の故意+自己に有利に遺産を帰属させようとする故意=二重の故意が必要
④詐欺・強迫により被相続人に相続に関する遺言をさせ,またはその取消・変更をさせた者(4号)
=遺言行為をさせた
⑤相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者(5号)
殺人・詐欺・偽造はともかく,隠匿は微妙である。相続欠落の趣旨は遺言に関して不当な鑑賞をしたものに民事上の制裁を課すことにある。ここから,二重の故意理論により,絞りをかける必要が出てくる。また,変造についても,代わりにはんこを押しただけのような場合もあるから,ここでも二重の故意理論で絞りをかける。
- ◆ 効果
◇相続人資格の剥奪
法律上当然に発生
被相続人との間で相対的に発生
欠落事由が相続後に生じたとしても,効果は相続開始時にさかのぼる
- ■ 相続欠格の宥恕
=ゆるす
- ?相続欠格の宥恕は可能か
- 確かにこの制度は,民事上の制裁のための制度ではあるが,被相続人の宥恕を許さないのは,公益的な側面はともかく,合理的な理由がない。生前贈与によって,相続欠格は存在意義を失いうることもあり,宥恕は認められると解するべきである。
■ 相続人の廃除
- ● 意義
被相続人の請求に基づいて,家庭裁判所が相続人から相続権を剥奪する制度(892・893条)
- ▲ 要件
△被廃除者が,遺留分を有する推定相続人である
△廃除原因の存在
被相続人に対する虐待・重大な侮辱・著しい非行
ex.「馬鹿おやじ」(いつも)
要客観性(東京高決平8・9・2)
- ?被相続人に誘発的な原因がある場合はどうなる
- 場合にもよるが,廃除原因が相対的に軽くはなる。
△家庭裁判所に対する廃除の請求(892条)
遺言による場合は,遺言執行者が請求(893条)
相続させない旨の遺言 遺言廃除の場合,排除とは文面に書かずに「○○には相続させない」と書いた場合の解釈が問題となる。この場合,文理上は「廃除」の意思が明らかでないから,遺留分の問題が浮上するからである。このような場合は,背景等一切の事情を考慮して,遺言を解釈するしかないだろう。
△廃除の審判・調停による決定
客観的に判断
- ◆ 効果
◇被廃除者の相続権剥奪
時期=審判の確定時or調停調書の作成時
被相続人の死亡のときにさかのぼる(893条1項後段)
→被廃除者の相続財産処分=無権利者の処分