商号

  • ●意義

商人が営業上,自己を表すために用いる名称(16〜31条)。
   「株式会社 はてな
   関連)不正競争防止法
   ≠商標∵¬営業上
   ≠サービスマーク∵¬名称
   ≠芸名∵¬商人

  • ▲要件

△商号自由の原則(16条)
   ∵継続使用による信用保護
      ex.24時間営業なのにセブンイレブン(“昔は”7時〜11時だった)
   修正(「商号真実主義」)↓
      ①商号単一の原則(慣習)
         ∵誤認防止
      ②「**会社」義務付け(17条)
      ③特殊事業者の名称義務付け

  • ▼手続

▽登記
   会社→絶対的登記事項
   個人商人→相対的登記事項
   登記済みの商号=登記不可(19条)
      ⊃紛らわしいもの=「新潟新聞社」「新潟新聞」

商法は登記によって保護効力の増大を認めるが,不正競争防止法によって未登記商号にも保護が与えられることから,登記による効力は滅減されている。
  • ◆効果

◇商号使用権
   :商号の使用を他人から妨げられない
◇商号専用権
   :不正商号(同一・類似)の使用に対し差し止め等ができる
   差止請求権(+損害賠償)(20条1項,21条2項)

商号権の性質は登記の先後関係によって絶対的に左右されないことからその人格性が肯認され,活動によって付加価値が高まることから知的財産性が認められる。

★「読売新聞と読売企画販売」東京地判平16・11・29
前記認定事実によれば,「読売」,「讀賣」又は「よみうり」との表示は,「読売グループ」が長年にわたり幅広い分野において継続して事業活動に使用してきたことにより,「読売グループ」又は同グループを構成する会社の商品又は役務の出所を示す表示として,顕著な識別力を獲得しているものと認められるから,原告らの周知著名な営業表示である。
これに対し,被告は,「読売」の語は,原告らグループ会社独自のものではなく,一般的な語,歴史用語にすぎない旨主張する。しかし,前記のとおり,「読売」との表示は,「読売グループ」又は関連企業の行う営業表示として顕著な識別力を獲得している以上,被告の主張は採用する余地はない。
そして,被告の商号「読売企画販売株式会社」において,「株式会社」の部分は会社の種類を示し,「企画販売」の部分は業種又は業態を示すものと理解されるから,被告の商号の自他識別機能を有する部分は「読売」である。
したがって,被告の商号は,原告らの周知著名な営業表示と類似する。また,原告らの属する「読売グループ」は幅広い分野で事業活動を展開していることから,被告がその商号を使用して会社の目的である事業活動を行えば,その需要者に対し,被告が「読売グループ」ないし原告らと経済的,資本的若しくは組織的に関連を有するとの誤認混同を生じさせるものと認められる。
以上のとおりであるから,被告の商号使用行為は不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に該当する。

  • !ポイント

!商業専用権における既登記商号と未登記商号の違い
   同市町村内における同一商号使用者に対する「不正競争目的」推定(20条2項)
!不正競争目的(20条,不正競争防止法)と不正の目的(21条)の違い
   「不正競争目的」
      ≒同業他社による妨害
   「不正の目的」
      ≒おふざけ(⊃一般people)
   ∴範囲=不正の目的>不正競争目的